僕たちが生まれ育ったコペンハーゲンは、ヒッピーカルチャーが強い社会です。彼らはマリファナを吸ってフェスに行くような民族と誤解されることも多いけれど、パワフルで正義感が強く、素敵な文化の持ち主です。
彼らが最も影響力を持っていた70年代、街の中心にクリスチャニアというヒッピーの自治区ができました。コペンハーゲンの銀座のようなエリアにある天国のような場所です。政府や警察と戦って独自のルールを勝ち取り、今でもみんなでシェアし、助け合いながら生活しています。
アウトサイダーたちが人間として認められる街でもあり、デンマークを象徴するグリーンな考え方が始まったのもここ。この環境に包まれると麻薬患者も治るんです。人口はどんどん増え、今も上限の約800人が住んでいます。
僕は中学の頃から毎日のように通って遊んでいました。白人社会の中で肌の色の違いを理由に差別を受けたアウトサイダーの一人だったので居心地が良かった。ヒップホップやスケボー、グラフィティーといったアートや音楽が溶け合うメルティングポットでもあり、影響をたくさん受けました。
そこに住んでいたのが、ソーシャルプロジェクトを始めるきっかけになった友人親子です。縁を感じるとともに、必然も感じます。正しい正義感を持ちたいという僕たちの魂は、そこで育まれました。
(「ザイノウエブラザーズ」デザイナー)
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「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。