《私のビジネス日記帳》パレスチナ問題を伝える意味 井上聡

2024/03/27 06:25 更新


 僕たちがソーシャルプロジェクトを始めた00年前半に比べると、世界は悪い方に進んでいます。それは気候変動も戦争問題も同じです。

 なかでも、パレスチナはひどい状況です。23年10月7日にイスラム組織ハマスがイスラエルを攻撃したのをきっかけにみんなが注目し始めましたが、近代的には70年間続く問題ですし、本質的には2000年以上前に始まった問題でもあります。パレスチナの自殺行為のような戦い方を見ると、最終段階を見ているような気すらします。恐ろしい現状に、体が震えます。

 僕たちは22年から、テルアビブを拠点とするイスラエルとパレスチナのクリエイター集団によるストリートブランド「アディッシュ」を応援してきました。日本に広げるために展示会などをサポートしてきましたが、皮肉なことにアタックをきっかけに売り上げが最も伸びました。

 その要因は、これまでぼんやりと受け止めていた問題を多くの人が目の当たりにしたからです。世界中が注目したことで、現実に起こっていることを知り、深く考え、行動に変化が起きた。それはある意味、希望でもあります。

 今は現地に行くこともできず、商品作りも難しくなり、アディッシュは24年春夏を最後に休止しています。今後の動きはまだわかりませんが、僕たちはパレスチナの応援チームとして、できるだけ多くの人々にこの問題を伝えていきたいです。

「ザイノウエブラザーズ」と「アディッシュ」の協業によるプルオーバー

(「ザイノウエブラザーズ」デザイナー)


「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。

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