《私のビジネス日記帳》地方創生の担い手 伊勢博

2024/04/24 06:25 更新


 栃木県宇都宮市を中心にセレクトショップ「アーク」を30年近く運営しています。県外を含め18店あり、ウェブサイト「アークネッツ」もあります。以前から地元の活性化に力を入れてきましたが、昨年から宇都宮大学と協業し、学生との公式グッズ制作・販売する取り組みを継続中です。私自身が数年前から宇大の社会人講座で学んだことがきっかけでした。

 地方創生や地域貢献が注目され、ビジネスチャンスを見いだしたファッション関連企業も増えています。単なる土産物に過ぎなかった工芸品や特産物でもちょっとデザインをアレンジしたり、パッケージを刷新したりと、見せ方を変えるだけでヒット商品に生まれ変わります。クリエイティブの力は絶大です。

 ただし、東京の人たちがプロデュースするだけでは本当の意味での地方の活性化にはなりません。地域の実態を理解した地元の人たち、自らが担い手となり変えていくしかないでしょう。これまでは最先端なことは全て東京発でした。しかし、少子高齢化社会の最先端は地方です。将来的に自分の住む街のインフラが保てるのか危機感があります。

 この大きな課題に地方が挑み、解決策を提供できれば、東京だけでなく、世界にも役に立てるでしょう。海外では大学が地域コミュニティーの役割を担っています。オープンイノベーションによって異業種と刺激し合うことは、地域社会にとっても、閉塞感のあるファッション業界にとっても、大きなプラスになるはずです。

(リストリクト社長)

「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。

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