システム開発のマイピック(東京、堀田彰文社長)はアパレルブランド向けの海外発送管理ツールを開発、「イーロジ・ビジネス」としてサービス提供を始めた。大手クーリエサービスと組んだ「業界最安値」という価格が売り。輸入にも対応し、対象国は220以上。堀田社長が専務を務めるデザイナーブランドのアキラナカ(東京)も利用しており、中小ブランドの海外開拓を後押しする。
堀田社長は以前アメリカで会社を経営していた時に海外物流システムを作っており、帰国後も越境ECの仕組みも整備していた。その後、コロナ禍に突入、安さに定評のあった日本郵政のEMS便が止まり、旧知のイーベイの担当者から「個人などのセラー(輸出をする販売者)が発送に困っている」と相談を受けたのが開発のきっかけ。
大手クーリエサービスと交渉したところ、「かなりいい条件をもらえた」(堀田社長)ため開発に着手。20年7月からサービスを始め、今では月間平均3万件ほど扱う。一般にクーリエは流量に応じてボリュームディスカウントが利き50%オフなども珍しくない。交渉次第だ。
その後、ファッション分野でも転用できないかを探り、クーリエの国際部と再度交渉、出荷データなどの一元化を条件に破格のレートを獲得した。データがばらばらだとクーリエ側の管理負担は大きいが、イーロジにまとめることで楽になりボリュームディスカウントを利かせられる。EMSより安くて速いという。
ブランド側は輸出者としてクーリエのアカウントを作り、輸出入情報のアップロード(CSVファイル)などして発送、クーリエからの請求は一括してイーロジ・ビジネスに行き、ディスカウントレートが適用される。破格のレートが適用されるのは現状、イーベイのセラーとファッションブランドという二つのカテゴリーのみという。これまで同じクーリエを使っていた場合も乗り換えられる。
元々のイーベイ向けがベースだが、アパレル向けに副資材やサンプルの輸出入、越境EC、ショップへの卸商品の配送など使い勝手良くカスタマイズした。
同社の手数料はクーリエの配送料に乗せる数%のみでかなり薄利だが、「商売度外視。いいサービスなので同じ環境にある同業に使ってもらいたい。戦う相手は世界。国内じゃない」と堀田社長。初期費用や月会費もなく、配送費用のみなので、「自社が使っているサービスと比べてもらえれば」とも。来春に向けては別のクーリエと組んだサービス提供も予定している。
※クーリエサービス 航空機を利用して、小口の荷物などをドア・ツー・ドアで輸送する国際宅配便サービス。