【新型コロナウイルス情報】靴業界、30~40%の納期遅れ 消費減速、計画調整が課題に

2020/03/03 06:28 更新


 国内の靴卸や靴メーカーの間で、3月以降の納期遅れが深刻化している。新型コロナウイルスの感染拡大による影響だ。アジアの生産拠点では徐々に生産を再開しているが、春節(中華圏の旧正月)後に予定していた春夏物の30~40%が納品できていない。消費も急激に落ち込み始め、深刻さが増している。

(須田渉美)

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 婦人靴卸のダニュウは、中国とベトナムの協力工場で自社ブランドを生産しており、2月までに60%を納品した。残り40%のうち、20%が3月納期のベトナム生産だが、中国のメーカーに手配していた材料の入荷が滞って2週間遅れている。残り20%が4月納品の中国生産。営業再開待ちで、「取引先は5月の大型連休前の入荷を希望しているが納期は未確定」という。「日本向け輸出の依存度が高い浙江省は被害が大きく、正確な再開のめどが立っていない」状況だ。5月納品を計画していたサンダルは未発注だったため、消費の動向と生産体制を調査して再検討する。

 ECと一部の百貨店で自社ブランド「ダニエラ&ジェマ」を販売するディーオージーは、80%以上を中国の協力工場で生産しており、春夏商品は「ほぼ春節前に入荷したが、3月予定のサンダルは滞っている」。加えて、「この秋冬から定番の形が売れ筋になっていて、在庫が切れそうなモデルの追加発注ができていない」。

 工場は2月末から徐々に動き始め、材料があるものは生産しつつあるが、揃わないと市場の再開を待たなければならない。それ以上に懸念するのは、消費の低迷だ。ECは一定売れているが、「店頭は先週から館の来店客が急減して低迷している。立ち上げは好反応だったので、ECでしっかり頑張っていきたい」としている。

 国内生産でも、中国製のパーツを使っていたり、製甲(アッパーの加工)の一部を中国の工場に依頼していたりするので、製品化しきれずに納品遅れが生じている。リーガルコーポレーションは「2月末時点で70%は納品済みだが、3月納期の継続品、4~5月に納期予定の夏物に影響が出る恐れがある」。消費の落ち込みも予測し、販売計画と今後の発注量を見直さざるを得ないとしている。

 浅草の自社工場で生産する婦人靴卸のモーダ・クレアも、製甲などが遅れて春夏商品の出荷が約75%にとどまっている。「依頼する工場によって多少は出荷できており、3月下旬ごろまで不安定な納品が続く」見通しだ。今後、新作の動きを注視して売れ筋の追加フォローに努めるが、秋冬に向けては「予算を下方修正し、発注を抑えて在庫を抱えないようにしたい」としている。

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