【新型コロナウイルス情報】イタリア全土封鎖 状況確認急ぐ素材企業 駐在員は帰国措置へ

2020/03/11 06:29 更新


 新型コロナウイルスの感染拡大で、イタリアが国内全域で人の移動を制限する措置を発表したことを受け、現地に拠点を持つ日本の繊維企業も状況確認と対応を急いでいる。

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 北部ロンバルディア州などに限定していた移動制限が、一気に広がることになった。時差もあって、現地に拠点を持つ日本企業では「まだ詳細が不明」「客先を含め、状況把握に努めている」「状況を見て判断していく」ところだが、10日昼過ぎの時点(イタリア時間10日早朝)ですでに帰国措置や勤務体制を見直す企業が増えている。

 旭化成が繊維事業でミラノに構えるイタリア現地法人は、10日から在宅勤務を導入した。3人の日本人駐在員は、10日以降順次日本に帰国し、在宅勤務に移るという。同社では、キュプラ「ベンベルグ」を中心に、欧州における旭化成の繊維製品を販売している。

 東レ子会社で人工皮革を製造・販売する伊アルカンターラは10日時点で、ミラノにある本社で在宅勤務に切り替えている。業務上必要な場合は、適切な対策を講じた上で出社を許可している。ローマ近郊のネラモントーロにある自社工場は、稼働している。日本からの駐在員への対応については検討中だが、既に帰国措置を取った人もいるという。帯同家族は帰国させた。現地状況を踏まえ、安全と健康を最優先に対応するとしている。日本からイタリアへの出張も、原則禁止とした。

 伊藤忠商事は、繊維原料や繊維製品を扱うミラノの現地法人で、3人の駐在員を英ロンドンに一時退避させた。

 八木通商のミラノ事務所は9日時点で時短営業し、重要・至急案件がなければ自宅待機としている。

 トスカーナ州プラートにあるスタイレムの現地法人も、今のところ、社長である駐在員、現地スタッフを含め、同地にとどまって営業しているが「状況が急変しているため、現地に確認中」という。

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