《新60代はカジュアル上手》引き算服がほしい

2018/08/13 07:00 更新


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 60代女性の新しいマーケットが注目されている。「60代から」を表紙に明記し、宝島社が1月に出したムック『素敵なあの人の大人服』が話題を呼び、編集部は様々なメディアや話を聞きたい企業から引っぱりだこという。

 紹介しているファッションはいずれも自然体でシンプル。60代に新しく仲間入りした、または仲間入りする世代には、これまでファッション業界が考えてきた〝ミセス〟向けとは違うスタイルが求められているようだ。見えてくるキーワードは「引き算」と「ノンエイジ」。

(赤間りか)

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 宝島社のこのムックは、第1弾は発売から数日で重版を決め、第2弾と合わせて10万部を発行した。編集部にも取り上げたブランドにも問い合わせが殺到し、反響が続く。

 編集を担当した同社の神下敬子さんの話から、新しい60代が求めるファッションが浮かび上がる。

『素敵なあの人の大人服』

◆日常からちょっと特別までつながる

「メーカーや売り場でこの世代向けとされている服には、いらないディテールが多すぎます。そうではなく、引き算のおしゃれがしたいのです。自分よりマイナス20歳ぐらいの人が買っている服が感覚的にちょうどいい」

 ムックの読者はがきのアンケートで「本誌で好きなコーディネート」のナンバーワンは、典型的なボーダーTシャツとややテーパーがかった白の九分丈パンツに黒のロングカーディガン。これにぴしっとレザーのレースアップシューズ、大きめのフープピアスやシルバーのバングルできめている。

 神下さんは現状のミセス向けは「よそ行き着」になっていると指摘する。ボーダーTに白のパンツなら、このままで近所に買い物、ジャケットを羽織れば電車に乗っておしゃれな街にも行ける。非日常を分けるのでなく、日常からちょっと特別までつながったスタイルが、この世代にはカッコいい。

「60代は心地よい暮らしを求め、衣食住を楽しんでいますし、市場のボリュームも大きい。青春時代は『アンアン』『ノンノ』、何がおしゃれかも分かっていてカジュアル上手です。なのに買いたい服を見つけられない」

 より若くではなく、今の自分のまま楽しめるもの、コットンやリネン、カシミヤといった気持ちのよいものを求めている。ただ、ラグジュアリーな商品を買える人はごく一部。ムックで人気だった企画は「無印良品・ユニクロ活用術」だった。

 もっともこれは、活用しない手はない、ということであり、この世代は自分で賢く選んでスタイリングできる。その意味で、シンプルコーディネートをぐっと引き立てるブローチの企画も大人気という。

「イントゥーカ」

◆見せ方一つで自分の店になる

「ブランド名には左右されないですし、地方でも買えるものでないと。年齢で区切っていない店の雰囲気も大切です。その点で、老若男女が気軽に入れる〝モールブランド〟ってすばらしい」

 入りやすい店かどうかも60代には重要だ。ファッション業界で若い人向けと分類されている業態も、モールでなら気兼ねなく入ることができ、実際に買っている声も多いという。入り口に生活雑貨を置くなど、「見せ方一つで自分も行っていいブランドなんだと思うのでは」と神下さん。

 ムックの編集には、対象となる女性たちとお茶会を催したり商業施設を見て回ったりと、かなりのリサーチを重ねたと話す。

<ラフできれい>

 ムックの第1弾も第2弾も表紙に登場したのは、モデルの結城アンナさん。着ているのは結城さん自身のお気に入りという「イントゥーカ」(パラマートデザイン)だ。イントゥーカにも問い合わせが相次いだ。

 「シンプルでクリアなところに引かれたようです。きれいだけれどラフな服というのを着たことがなくて、はっとしたという人も。私たちのブランドに、年相応という言葉はない。ターゲットやテーマは意識せず好きに作っていますし、何歳でもウェルカムです。年相応から抜け出す背中を押したのが、このムックだったのでは」とデザイナー。

「イントゥーカ」

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