日本には世界のトップレベルで評価されるべきブランドが存在する。一方で、高い技術力や品質を持ちながら、その価値をきちんと発信し、欧州の一流店との継続的な取引につなげているブランドは少ない。私が暮らすイタリアには、優れた物作りだけでなく、ブランドの歴史や世界観を巧みに発信し、世界中の富裕層を魅了するブランドが数多く存在する。なぜ日本には同じようなラグジュアリーブランドが育たないのだろうか。
(ミラノ在住ファッションコーディネーター・坪内隆夫)
欧州で成功する条件
私が海外販売を担当する京丹後のネクタイブランド「クスカ」は3年間、「ピッティ・イマージネ・ウオモ」に出展していた。しかし、展示会に参加するだけでは、なかなか受注には結びつかない。ピッティ開催前に私はサンプルを持ちロンドン・サビル・ローの名門ビスポーク店を一軒ずつ訪問し、直接営業活動を行った。その中の一つが、英国王室御用達として知られるハンツマンだった。
訪問をきっかけに、ハンツマンのクリエイティブディレクター、キャンベル・ケアリー氏がピッティのクスカのブースを数シーズンにわたり訪問。ブランドへの理解を深め、取引がスタートした。同氏に、日本ブランドが世界最高峰の店舗で通用する可能性、そして欧州市場で成功するために必要な条件について聞いた。
