宮崎市のアウトドア専門店「ポータル」 移住者らを魅了、視察も相次ぐ

2024/05/20 11:30 更新


「今後も独自色に磨きをかけたい」と中野さん

 宮崎市に、大手アウトドアメーカーの幹部がたびたび視察に訪れるアウトドア専門店がある。おしゃれな内装はアパレルショップと見間違えるほどで、移住者や若者をとりこにする。今後は個性派ブランドの品揃えに、更に力を入れる。

(杉江潤平)

無機質な空間で

 宮崎駅から車を20分ほど走らせると、道路沿いに路面店の「PORTAL」(ポータル)が現れる。ウィンドーには「ザ・ノース・フェイス」の白のシェルジャケットが展示されているだけで、すぐにここがアウトドアショップだと分かる人は少ないだろう。

 オーナーの中野祥吾さんがあえて狙って店作りしたもので、興味がかきたてられ、意外性も秘められている。「ライフスタイルの延長でアウトドアに親しんでもらいたい」と、山小屋風の作りにはせず、売り場の陳列数も物量で勝負する他のアウトドアショップに比べて圧倒的に少なくした。「あえて無機質な内装にして、商品が主役になるようにしたかった」からだ。

外観はシンプルで、アウトドアショップには見えない

 品揃えはハイクとフライフィッシング向けを中心に、ウェア、ギアを揃える。主なブランドは、「ザ・ノース・フェイス」「ゴールドウイン」「パタゴニア」「LLビーン」「アンドワンダー」など。専門性はありつつ、できるだけ日常でも使えるものをセレクトしているという。

 以前はキャンプ用品も多く扱っていたが、ブームの兆しが見られたため扱いをやめた。理由は「キャンプは新規参入しやすく、盛り上がった分だけ落ち込みも大きい」と予想したからだ。

独自色さらに磨く

 中野さんがポータルを開いたのは18年。宮崎はサーフィンのメッカということからサーフショップがたくさんあるが、「これだけ豊かな山々に囲まれていながら、山に関連するアウトドアカルチャーは根付いていない」と、山を背景にした店舗を作った。

 当初は宮崎の地元住民に宮崎の自然の素晴らしさを伝えるために開いたが、実際は移住者やUターン客を魅了した。センスの良さが評判となり、取引先メーカーの幹部も頻繁に視察に訪れる。来店客の中心は40、50代。男女比は6対4。

売り場面積は約100平方メートル。店内の香りやBGM、植栽にもこだわる

 オープンしてから売り上げは右肩上がりを続ける。ただ今年になって、宮崎駅前の商業施設に大手アウトドア量販店が出店したことから、差別化が求められるようになった。さっそく24年春からは「リッジマウンテンギア」「ロウロウマウンテンワークス」「アクシーズクイン・エレメンツ」「ケイル」など個性的な10ブランドを新規に導入。今後もガレージブランドなどを積極的に入れ、独自色に磨きをかける方針だ。



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