海を眺めながらショッピング――そんな夢のようなことを、プランタン・マルセイユ店で体験した。15年5月末に南仏のこの大都市の湾岸にオープンした大型高級ショッピングセンター「レ・テラス・デュ・ポール」内に、プランタンが32年ぶりに開業した地方店だ。
プランタンのパオロ・デ・セザレ会長兼ＣＥＯ（最高経営責任者）は、「百貨店はいつも新鮮でエキサイティングでなければならない」と地方店の発展計画について話してくれた。パリ本店屋上テラスからはエッフェル塔が見え、このマルセイユ店の売り場からは地中海が見える。紺碧の海と青い空が格別のエモーションを与えてくれる。
売り場面積は2フロアで6000平方㍍。吹き抜けのメザニン（中2階）建築、波にストップモーションをかけたような高さ10メートルのシラカバの彫刻のような天井。客船のような1階には「コムデギャルソン」「ジェローム・ドレフュス」「ヴィクトリア・ベッカム」「アレクサンダー・ウォン」らのレザーグッズ、「ショパール」「ポメラート」などのジュエリーメゾンが並ぶ。
メンズは「ケンゾー」「メゾン・キツネ」「アルマーニ・ジーンズ」などカジュアル、スポーツブランドが中心。船のデッキのようにエアリーな2階レディスファッションは「バッシュ」「コントワー・デ・コトニエ」「マジュ」「サンドロ」「ザ・クープルス」など手の届くブランド。本店同様マリア・ルイザのコーナーでは「ダイアン・フォン・ファステンバーグ」のほかジーンズブランドを集めた「エスパス・デニム」やビーチウエアとバカンス客のニーズを狙ったＭＤ。お決まりのラグジュアリーメゾンよりもクリエーター、コンテンポラリーブランドを中心に選び、プランタンらしさを出した。
そして一番のサプライズはランジェリーにある。「オーバドゥ」「ワコール」「コサベラ」「ミラ」をはじめとする13のインターナショナルブランドを、地中海のパノラマを前にマーメイド気分で試着できる。船室のような33平方㍍の試着室は、パリの独り暮し向けワンルームより広い。同じく地中海に面したプライベートサロンでは、ファッション＆ビューティーのＶＩＰサービスもある。
（パリ＝松井孝予通信員）
