SCディベロッパー、新型コロナ影響拡大のなかES強化 「少しでもスタッフを元気に」

2020/03/17 06:28 更新


 新型コロナウイルス感染拡大の影響で商業施設の客数、売り上げが減少するなか、SCディベロッパーでは「ショップスタッフを少しでも元気付けたい」とES(従業員満足)向上に改めて力を入れる施設が相次いでいる。

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 ルミネ立川は3月12日、従業員食堂でランチタイムに100円でビュッフェメニューが一皿に盛り放題できる企画と午後3時以降に菓子を配るサービスを実施、スタッフに好評だった。

 ルミネは同日から16日まで予定していたルミネカード会員向け10%割り引きキャンペーン(10%オフ)を感染拡大防止のため中止した。立川店では多くの客が集まる10%オフの初日にショップスタッフをねぎらうため同企画を計画していた。「10%オフが中止なら、この企画もやめる選択肢もあったが、ショップスタッフが元気になるように応援するのが我々の仕事と考え、企画は中止しなかった」と岩田明彦店長。同社は10%オフを含む集客イベントを当面中止する分、ES向上施策をさらに強化する方針で、他館でも様々な施策を行っている。

 小田急電鉄が運営する新宿ミロードはショップスタッフに館内で利用できる500円分の金券を13日から配布している。「新型コロナの影響で客数が減り、売りたくても売れない状況が続くなか、精神的に疲弊しているショップスタッフが多い。自らが利用でき、館内の他店にもお金が循環する仕組みを作ることで、少しでも各店の売り上げとスタッフの元気付けにつなげたい」として急きょ企画した。今後もフロア担当者がショップスタッフの声を聞きながら「できる限りのことをしていきたい」という。

 他のディベロッパーでもES強化策のほか、「こういう時期だからこそ、来ていただけるお客を大事にし、接客をさらに強化する」(ラフォーレ原宿など)動きが出てきた。大型イベントの自粛を求める政府の「基本方針」もあり、商業施設では当面、「館の一番の役割」である集客イベントを控えざるをえない。

 3月の各施設の売り上げは厳しい結果に終わるだろう。新型コロナの影響がどこまで続くかは不透明だが、今はショップとのコミュニケーションをさらに強め、次につなげるためにしっかり準備することがディベロッパーにとって不可欠だ。

従業員食堂で100円でビュッフェメニュー盛り放題を実施(12日、ルミネ立川で)

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