にぎわう「生活のたのしみ展」 その場にあった面白さを

2019/05/08 06:29 更新


 会期初日の4月17日、丸ビル1階のメイン会場には、オープンと同時に行列待ちの来場者が続々となだれ込んで行く。5分もしないうちに、各ブースとも、商品が見えないほどに人で埋まった。

(中村維)

 毎回、作家やブランド、企業など、趣向を凝らしたユニークな出店者と多くの来場者でにぎわう生活のたのしみ展は、17年3月に20店ほどが並ぶ3日間のイベントとしてスタートした。主催はウェブメディアのほぼ日。4回目となる今回は、5日間にわたり、60店が出店、会期中のレジカウント数は4万回を超えた。

◆キャラバンのように

 開催地は、初回と2回目が六本木ヒルズのアリーナ、3回目は恵比寿ガーデンプレイスへと移り、昨秋には阪急うめだ本店での巡回店も実施した。「移そうと思って変えたわけではなく、やりたいことに合った場所や、いいタイミングでご縁を頂いた場所が見つかったことで、結果的にキャラバンのように動いてきました」と、生活のたのしみ展リーダーを務めるほぼ日の杉山摩美さん。「次はどこで? と、出店者からも、お客様からも楽しみにして頂ける、特徴の一つになってきているかなと思います」。

丸の内では初めて会場を分散(丸ビル会場)

 運営の内容も場所に合わせて変えている。「制約や特徴も楽しみながら、提供して下さる会場の方とも一緒に、どんな形が面白いだろうと考えています」。丸の内では、丸ビルとトキアガレリア、丸の内仲通りと、初めて会場を分散した形での運営となった。3カ所をまわってもらうためのデジタルスタンプラリーを設けたり、仲通りには「味坊」の羊餃子を売るキッチンカーや世界の料理本が並ぶ移動書店といった、散歩がてらに楽しめる店を配するなど工夫を凝らした。

生活のたのしみ展リーダーを務めるほぼ日の杉山摩美さん

◆毎回実験的な仕掛け

 仕掛けの部分でも、毎回実験的な試みをしている。

 今回は会場に来られない人にも、ライブ感を味わいつつショッピングしてもらおうと、ウェブ上での〝買える生コマーシャル(以下生コマ)〟や、テレビ電話を使った買い物代行コンシェルジュにトライした。生コマは約1時間に1本、会場でコマーシャル動画を撮影して即アップし、ウェブで販売。買い物代行は、事前予約した消費者に当日ほぼ日スタッフがテレビ電話で連絡を取り、会場をまわりながら最大40分の遠隔操作の指示を受け、買い物代行をするというもの。

 「たのしみ展の一番の特徴はやはり会場。来た方がちょっとホクホクして、良い時間だったなと思って、帰ったあとも買ったものを通して楽しみが続いていく。その雰囲気をなるべく多くの方に知って頂きたかった」と杉山さん。

 開催時期は不定期。出店者も今回は「ハウスオブロータス」など半数が初出店となった。「時期と場所と規模、全部変数にしての組みあわせ」で出来上がる。そして常に、ちょっぴりサプライズがある。そんな型にはまらないところが、開催ごとに多くの人をひきつける魅力となっている。

 ■開催時期=不定期、会場=不定、出店者数=今回60(前回80)



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