渋谷マークシティ、ベーカリーレストランを導入 幅広い客層を取り込む

2024/10/04 06:28 更新


館の特性に合わせた店にした

 東京・渋谷駅直結の大型複合施設、渋谷マークシティはウエストモール2階を大型改装し、サンマルクホールディングスの新業態レストラン「ベーカリーレストランC」を9月30日に導入した。街の変化に対応し、施設の特性を発揮するために19年から段階的に実施してきた改装の「最終ピース」(江柄好朗社長)。近隣で働く女性を中心に幅広い客層を取り込み、施設全体の回遊と買い回りを促進する。今期(25年3月期)の商業ゾーンの売上高は同区画の改装工事を約半年間実施した中で、8月までで前年同期比5%増とし、9月も同様のペース。集客が見込める新店導入で弾みをつけ、前期に続き、過去最高額の更新を目指す。

(有井学)

【関連記事】《トップに聞く》渋谷マークシティ社長 江柄好朗氏 チーム一体で複合施設の強みを発揮

 同階全体の約半分を改装し、ビューティー、サービス業種店があった3区画を統合した。店舗面積は約198平方メートルで、110席。パン、小川珈琲との協業によるコーヒーなどのドリンクのほか、パスタやサラダなどのフード、デザートを揃え、パンとドリンクの一部はテイクアウト販売も行う。「感度が高い女性に響く飲食店が周辺にあまりなく、シーンや時間帯に応じて幅広い層の利用が見込める」狙いで導入した。

 昨秋に東京ドームシティ内の商業施設「ラクーア」にオープンした店舗に続く2号店。共通項はありながら、マークシティの特性に合わせた店にした。「課題だったフロアの視認性の悪さと動線のわかりにくさを解決し、お客が入りやすくする」ため、開放的なオープンカフェ形態とし、ブラウンを基調により明るい内装にした。近隣就業者などのニーズに合わせ、1人席を増やし、初めてフリーWi-Fiを整備した。

 価格はランチで1000円前後で、「立ち寄りやすい」設定にした。独自メニューが全体の半分以上で、1号店にはないパフェなどを入れた。マークシティの犬のマスコットキャラクター「マーク君」「シティ君」をイメージしたメニューも開発した。マークシティとサンマルクで半年以上、週1回ペースでミーティングを実施、「ディベロッパーの枠組みを超え、初めて店舗開発に本格的に踏み込んだ」という。

 19年からの改装で街に足りない機能を充実して駅利用者や近隣就業者の利便性を高めるため、飲食店を拡大したほか、21年3月にウエストモール1階に大創産業の日用雑貨「ダイソー」「スタンダードプロダクツ」、同年6月にイーストモール1階に東急百貨店の食品売り場「渋谷東急フードショー」のスイーツゾーンを入れるなどした。

 この成果で、近隣居住者などのほか、インバウンド需要もつかみ、売上高は22年度にコロナ禍前を超え、23年度は152億円(前期比17.3%増)とした。ただし、ウエストモール2階は売り上げ好調な1階などと比べて、「集客力が弱く、課題だった」。ベーカリーレストランCの導入で課題解決を目指す。台湾人インフルエンサーによるSNSでの情報発信も行い、インバウンドも取り込む。

台湾人インフルエンサーを活用した発信も行う


この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事