「SHIBUYA109lab.トレンド予測2026」のモノ・コト部門では、写真共有アプリ「ビーリアル」で撮影した写真をプリントし、ノートに貼って作る「ビーリアルノート」や、お手製の「パッチワークTシャツ」など、コラージュや手作りをする体験が多く上げられています。
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これらは、私たちSHIBUYA109ラボが今後の若者たちの消費ムードを表すキーワードとして掲げている「じぶん探し消費」にひもづく消費です。自分の「好き」を見つける内省体験のための消費を指します。25年以降、日記をつけてSNSで共有する「日記界隈(かいわい)」や「読書会」など、内省体験のトレンドが少しずつ生まれており、「自分に向き合いたい」という欲求は、今後さらに強まると予測しています。
「好き」ってなんだ?
この消費に注目が高まっている背景は、彼らの「いざSNSのアルゴリズムを抜けた時、自分を主語にして『好き』といえるものってなんだ?」という疑問です。近年、SNSでは個人の閲覧履歴や興味関心に合わせて情報をサジェストするアルゴリズムが発達しています。その影響により彼らの情報収集における基本姿勢は受動的です。
23年ごろのインタビューでは、「トレンドはAI(人工知能)が持ってきてくれる」という発言があったくらい、SNSのアルゴリズムによって提供されるトレンドを受け取り、参加することで盛り上げ役を楽しんでいる様子が見られていました。
自分で選んで作る余白
しかし現在は、アルゴリズムによって次々に移り変わるトレンドを提示され続けることに、疲れと漠然とした不安を感じているようです。
だからこそ今、「自分はこれが好きなんだ」という「実感」を求めて、SNSのアルゴリズムから離脱し、自分で集めて、選んで、組み合わせてクラフトするという体験が、若者に求められています。モノとして残ることでトレンドやコミュニケーションが目まぐるしく通り過ぎていく日常の中で、「自分が生きた実感」を記録したい意図もあるようです。
また、これらの「じぶん探し消費」は、スマートフォン依存の改善や「アテンション・デトックス」(不特定多数からの注目から一時的に離脱しようすること)のためにスマホを持たない時間を作ることにもつながります。スマホを離れたオフラインの環境で、クラフトを通じて自分に向き合う活動をすることが、今の若者にとっての癒やしになっています。

若者は「アルゴリズムに選ばれたトレンド」ではなく、自分の〝好き〟に向き合える体験を求めています。今後は、クラフトやコラージュのように〝自分で選び、つくる余白〟を楽しむことで「自分探し」をする経験が若者にとってのトレンドになってくるのではないでしょうか。

