情報収集や暇つぶし、リアルの共有・友達とのコミュニケーション──。このすべてがスマホの中でできてしまう今、デジタルネイティブであるアラウンド20(15~24歳の男女)がスマホのスクリーンに向き合う時間が非常に多くなっていることは言うまでもありません。
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自撮りアプリは平均3個
話題の中心となっているのがインスタグラム。写真や動画の投稿がメインのため、必然的に「写真・動画加工」に対するこだわり意識が高まっています。
まず彼女たちは、撮影した写真を無加工でSNSに投稿することはありません。最近は「写真の加工はインスタグラム内のフィルター機能で十分満足できる」という声もあがっていますが、写真の仕上がりに対してこだわりが強い女性は、撮影した写真を「VSCO」(ヴィスコ)や「PicsArt」(ピクスアート)などの写真加工アプリを使って写真の色味を自分好みに調整しています。
今の写真加工のトレンドは「白っぽ加工×シャープ」。彩度を高めた色鮮やかでカラフルな加工よりも、シャープさを高めたシンプルでクリアな加工が人気です。
写真加工はわずかな違いではありますが、毎回同じ加工をすることで投稿する写真や動画の雰囲気を統一し、自分の好きな世界観を表現しています。
また、彼女たちは写真加工だけでなく、「自撮り」に対しても、こだわりが強い傾向があります。
シブヤ109ガールズを対象に実施した調査でも(※)、SNS・コミュニケーションアプリ(LINEなど)を除いたアプリの平均ダウンロード数に関して、最も多いのは「自撮りカメラアプリ」(平均3.0個)、次いで「動画アプリ」(平均2.4個)、「写真加工アプリ」(平均1.5個)「音楽アプリ」(1.1個)という結果となりました。
人気の自撮りカメラアプリランキングには、「SNOW」(スノー)、「B612」(ビーロクイチニ)、「SODA」(ソーダ)、「Ulike」(ユーライック)の順にランクインしました。
シーンごとに使い分け
最近の自撮りアプリのトレンドは「盛れすぎないこと」と「ナチュラル&透明感」。気になる顔のパーツの加工ができるビューティー効果だけでなく、クリアな写りで「自然に盛れる」ことが、人気のアプリの共通点です。
元祖自撮りカメラともいえるSNOWは、季節やトレンドに合わせて毎日新しいスタンプが追加されていたり、写真だけでなくインスタグラムのストーリーズにある「ブーメラン」用の動画を撮影できたりなど、楽しみ方も豊富でアラウンド20から引き続き熱い支持を得ています。
また「Ulike」には、おしゃれなポーズの枠線に合わせて撮影できる「姿勢機能」もついていて、自撮りが苦手な子でも簡単におしゃれな写真が撮れることも人気な理由の一つのようです。
また、人気のオルチャン(韓国の女の子)っぽい顔に盛りたい時は「SNOW」、友達と一緒に自撮りをする時は「SODA」など、シーンに合わせてアプリを使い分けている実態もあります。
そして最近では、「インカメラで他撮りしてもらった〝自撮り〟風の写真」がじわじわと人気になってきています。仕上がりは「自撮り」なのですが、実際の撮影方法はインカメラにした状態のスマホを、少し上の位置で友達に持ってもらい、シャッターを押してもらうというもの。自分で撮影するよりも、より盛れる写真が撮れるためです。
SNS上でのコミュニケーションが主流になっている彼女たちは、自分が周囲にどう見られるかを気にする意識が強い傾向があります。そのため、このように「自分をどう見せるか・表現するか」を日々研究しているのです。
今回は様々なアプリの名前を連発してみましたが、なんのことやら…!と感じたそこのあなた。若者を理解するには、若者と同じものを使ってみることが鉄則です。ぜひ、このアプリランキングを参考にしていただき、一度使ってみてください。彼女たちが求めていることが、つかめるきっかけになるかもしれません。
※シブヤ109ガールズ調査(19年2月実施、110人から回答を得た)
(繊研新聞本紙19年4月12日付)