スパイバーの人工たんぱく質「ブリュード・プロテインファイバー」(BP)が、7月に始まったシンガーソングライターの宇多田ヒカルさんのツアーの衣装に採用された。「エイポック・エイブル・イッセイミヤケ」(宮前義之)がデザイン・制作した。
有名アーティストのツアーに衣装協力が入るケースはまれだ。BPの可能性やスパイバーのサステイナビリティーのビジョンに共感してもらい、スパイバーの衣装提供が実現した。衣装は水が流れるようなテキスタイルの造形が印象的なドレスで、オレンジ、黄、緑、青のグラデーションが載る。
宮前は「ミュージシャンへの衣装提供は初めて。スパイバーの関山和秀代表に聞いた素材の可能性や未来のビジョンに共感し、挑戦することにした。唯一無二の存在である宇多田さんの表現を後押しできるような、そして音楽や舞台を含む総合芸術のライブのなかで、衣装が調和しながら存在感を出せるよう工夫した」とコメントしている。
BPとポリエステルを複合し、収縮率の違いで変形させながら、伸縮性のある生地にするイッセイミヤケの「スチーム・ストレッチ」技術を使って制作した。長年、宇多田さんを担当するスタイリストの小川恭平氏が監修し、アーティストの世界にふさわしい衣装に仕上げた。
今回のツアーはデビュー25周年に合わせ、約6年ぶりに全国を回る。7月13日に福岡から開始し、台北や香港でも開催する。公演中に宇多田さん本人が「(ステージの)スクリーンで見ると『後ろはこうなってるんだ』とか発見がある。軽くて新しい、すごく環境にいいんだって」など衣装についてコメントしている。