【スーパーバイザーに聞く】店や接客の変化と、店長に期待すること

2020/09/22 06:26 更新


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 新型コロナウイルスの影響で、ファッションビジネスにおいて、小売り店頭を起点とした商売も否応なく変化しつつある。マスクを付けて店頭に立ったり、積極的に声を掛けることを避けたりと、今まで通りの接客は難しくなった。今回は、店長や販売員を束ねる立場である4人のスーパーバイザー(SV)に店頭への指示や現場とのコミュニケーションはどんな風に変化しているか、そして接客や店のあり方に関して、店長やスタッフにどんなことを求めているのかを聞いた。

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一緒に考え、チャレンジを大切に

「ビームス」 富田久美さん

店はお客とスタッフがわずかでもコミュニケーションを取ることで、「〝ポジティブなストーリー〟を作れる場」だと考えている

 富田さんは3月にSVに着任し、「デミルクス」や「エッフェ」などドレス系のレーベルを中心に販売する都内の6店を担当している。

 着任早々、コロナ禍の影響で、店頭スタッフとのミーティングは対面からリモートがメインになった。自ら足を運んで店舗を見に行くことが出来なくなってから、接客について考える機会が増えた。特に「ウィズコロナ時代の接客の在り方についてスタッフと一緒に考えることが増えた」と話す。店頭ではマスク着用が必須となったため、スタッフの表情が半分しかお客には見えない。積極的な声掛けなど能動的な接客も難しくなった。その中で気持ちや歓迎感をどう表現するか、より感じられるかを「みんなで一緒に考えていこう」と伝えている。

 今は、取り組みに対して思い通りの成果が得られないこともあるが、店ごとにどう目標を立てて取り組んだかなど、過程をしっかり見ることをSVとして心掛けている。店に行く機会も減ったため、電話を使い、店の様子を細かく聞いている。用件があるのは店長だったとしても、電話口のスタッフに店の様子やお客の様子について話を聞くようにしている。そうすることで経験の浅いスタッフも「お店のことわかってるって思って聞いてくれてるんだ!と、お店の動向を主体的に見るようになるきっかけになれば」と話す。

 店長には「今はスタッフのモチベーションの維持に注力してほしい」。スタッフの気持ちに共感する姿勢を大切にし、寄り添うことで、結果としてモチベーションアップにつながることもある。

 色々なことが変化している中だからこそ、アンテナを張って「店のために」と現場から上がってくるアイデアには積極的にチャレンジ出来るよう、「とりあえずやってみよう!」と背中を押すようにしている。

「やりたい」「やるべき」のメリハリを

「ジーンズメイト」 伊藤のぞみさん

スタッフと対面できる機会が減っているからこそ、積極的にコミュニケーションを取る伊藤さん(左)

 02年にアルバイトとして入社した伊藤さん。06年に正社員、12年に店長、19年にSVと、着実にキャリアを積んできた。現在は、SV職と「ジーンズメイト」調布店の店長職を兼務している。

 SVとして6店の管理を任されている。コロナを経て、「毎日1~2店を回っていた以前のようには臨店ができなくなった」。その分、携帯電話のメッセージアプリなどを活用して報告・連絡・相談の回数を増やしてはいるが、「店長や各店のスタッフの表情が見えない分、指示を出すのが難しくなった」。

 緊急事態宣言下は営業時間を短縮したが、現在はほとんどの店が通常営業に戻っている。しかし、自店も含め、前年の売り上げ実績を超えるのは簡単ではない状況だ。そんななか、「あまりネガティブには考えないように意識しつつ、店長たちを励ましている」。会社として店長の出勤日数を減らしていることもあり、「やりきれない気持ちは私も店長を務めているから理解できる」。「こんな時でも来店してくださるお客様に満足してもらおう」と声をかけながら、今できることを着実にこなすように努めている。

 出勤日数が減っている今だからこそ店長に意識して欲しいのは、「日々の仕事のやりたいこと、やらなければいけないことのメリハリ」だ。当然、やらなければいけないことに比重を置いて欲しいと考えている。

 このバランスがうまく取れる人に加え、「自店のスタッフと顔を会わせる機会が減っているからこそ、人望の厚さが今の店長には求められる」という。このほか、店での滞在時間を短くしたいと考える客が増えていると感じ、「ぱっと見た時に分かりやすい売り場作り」も大切にしている。

店頭での気付きと「さらに改善提案」を

「ゾフ」 永作仁志さん

「コロナ禍で自発的に現場が解決法を考え上げてくるようになった」と話す(左、永作マネジャー)

 永作さんは東京の池袋・新宿・銀座地区の14店を見るグループマネジャーを務める。担当店舗の売り上げと人事の管理を担い、本部方針を現場に伝えるのが主な仕事。2、3カ月に1回は店長会と副店長会を開き、各店を毎月2、3回は訪ね、接客応援にも入る。「自分事として考えられるように、販売員とお客様双方の目線で情報を伝え、戦略は現場で意見を出し合い、自分たちで作った感覚を持たせている」

 以前は接客時に困ったことがあっても現場で頑張って対応し、上に報告しない店が多かったが「現場の声や起きている事が頻繫に上がってくるようになったのが、この間の変化」。4~5月の休業期間中は、会社の現状を知りたいという現場の声を受け、週1回リモート店長会を開催。店内の足型シールや消毒の設置、フェイスシールドの使用、控え室も含む1時間ごとの清掃など、現場の提案を全店で行えるよう指示を出した。営業再開後は毎週エリア内全店のリモート会議を新たに始め、店舗間の横のつながりや一体感が出るようになった。

 店長には、与えられる情報を理解したうえでの売り上げ目標の達成を求めてきたが「前年並みの確保も難しいウィズコロナの今は、気付きの報告の数と改善提案の質も指標に加え、各店を評価している。声を上げれば本部が敏感に対応すると実感し、改善方法まで考えて提案するようになった店長も多い」。

 営業再開後は、店頭で当たり前の笑顔や親身な接客に対し、来店客から感謝の手紙やメールをもらう事例が大幅に増えた。「リアル店は唯一、客と接点を持て、ゾフを代表してお礼を言える不可欠な場。さらに特別感を持たれるように、店頭で接客の改善に力を入れていく」考えだ。

状況や気持ちをしっかりと理解する

ストライプインターナショナル「アメリカンホリック」 中藤絵梨菜さん

「こういう状況だからこそ店に来るお客様にはマニュアル通り以上の対応をすることも大切にしている」と話す中藤さん(右)

 中藤さんは14年からSVを務めていて、2月から「アメリカンホリック」の福岡県、山口県、熊本県、沖縄県地域の15店を担当している。

 店に頻繫に足を運ぶことが難しくなったため、電話やLINEを用いて頻繁に連絡を取るようになったという。新人店長や自分のことを話すのが苦手なスタッフに対しても、きちんとフォローすることで気軽に話しやすい環境づくりを心掛けている。目標を共有するときなどには、スタッフへの感謝の気持ちや、各店舗の好調事例を伝えることも徹底している。良かったことを共有することで「テンションを上げてほしい」と話す。

 担当エリアの中には、緊急事態宣言中も営業している店があった。それまでは言わないといけないことは必ず伝えるのが、指導するときのポリシーだった。営業を続けることで、不安を感じている店長もいたため「モチベーションによっては同じやり方で指導をしても響かない」ことに気付いたという。そのため、一人ひとりがどういう状況にあるのかをきちんと把握することを大事にするようになった。

 店長には「この状況下でもお店に来てくれるお客様を大切にしてほしい」と話す。実店舗の強みは接客が出来ることだと考え、今はお客とのファーストアプローチを大事にするように伝えている。入店、退店時のあいさつはもちろん、表情を見て声を掛けられたくなさそうなお客には、積極的な声掛けをしないよう伝えている。

 お客にスタッフが好き、対応が良かったと言ってもらうためには、スタッフ自身が仕事を楽しむことが大事だと考えている。そのためにも悩んだときに何でも言いやすいよう、日頃から声を掛けたりコミュニケーションを取ることを大切にしている。

《バックルーム》

 取材をする中で、印象的だったのは「皆同じ状況だから、どうにもならないことでも、ため込まずに話してみることが大事」という言葉だ。悩んだ時やモチベーションが上がらない時は、まずは皆で話せる環境を作ること。そうすればもう一度、現場の気持ちを立て直すきっかけは作れる。

 複数の店舗を見ているSVだからこそ、それぞれのスタッフに目を配っているところが垣間見えた。

 複数のSVが「接客することで、このスタッフから買いたい、と思ってもらえることが店の良いところ」だと話してくれた。ECで出来る簡単な買い物との差別化をするためにも、店だから得られる経験や価値を生み出すことが、これからもっと大切になっていくだろうと思う。

(繊研新聞本紙20年8月31日付)

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