AEのNY新店が無料洗濯機を置いたわけ(杉本佳子)

2018/03/31 14:15 更新


お客に店に来てもらうための工夫、店に来ないと体験できないことが非常に重要になっている。同時に、「パーソナライゼーション」も小売業における重要なテーマだ。アメリカンイーグルアウトフィッターズがユニオンスクエア店をリモデルしてつくった「AE Studio」は、そうした時代の流れを如実に表している。


ここでは、カスタムメイドのレザーパッチをつけてくれるコーナーがある。ジーンズを買えば、いろいろな色のレザーパッチの中から好きな色を選び、好みでスローガンや好きな言葉を加えることもできる。混んでいなければ、15分から20分で無料でつけてくれる。


しかし、画期的なのは、そのコーナーのそばにあるランドリーセクションだ。AE Studioの近くには、ニュースクールやニューヨーク大学など、大学が多い。そのため、大学生が汚れた衣類を持ち込んで無料で洗濯できるよう、洗濯機と乾燥機を設置したという。

それによって、アメリカンイーグルをもっと好きになってもらいたい、店で過ごす時間を増やしてもらいたい、という思惑があるためだが、無料で洗濯できるファッションの店は、筆者が知る限り、前代未聞。その自由な発想に拍手を送りたい。


ただ、ここからが「ニューヨークあるある」なのだが、この店、オープンして数か月たつのだが、いまだにこのランドリーは使える機能になっていない。

おそらく排水関係の設備が完了していないということではないかと思うが、販売員に聞いても「いつ使えるようになるのかわからない」とのこと。これだけ本格的な設備をつくったのだから、ディスプレーで終わることにはならないと思うが、“工事”が遅れ遅れになるのは、ニューヨークではありがち。早く使えるようになって、お客の反応を知りたいものだ。

ちなみに、使えるようになった暁には、学生証の提示を求めて、学生であることを確認するそう。そりゃそうでしょうね。誰でもタダで洗濯に来れるようになってしまったら、ある意味“本末転倒”になりかねないことでしょう。



89年秋以来、繊研新聞ニューヨーク通信員としてファッション、ファッションビジネス、小売ビジネスについて執筆してきました。2013 年春に始めたダイエットで20代の頃の体重に落とし、美容食の研究も開始。でも知的好奇心が邪魔をして(!?)つい夜更かししてしまい、美肌効果のほどはビミョウ。そんな私の食指が動いたネタを、ランダムに紹介していきます。また、美容食の研究も始めました(ブログはこちらからどうぞ



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