デザイナーの島瀬敬章さんが手掛ける「タクタク」は8月27日、東京都新宿区にアトリエ兼ショップ「コロン」をオープンした。
地下鉄の神楽坂駅を出てすぐのところにあるビルの2階。約100平方メートルの一つの部屋に、事務所、アトリエ、ショップ、試着室、製品と生地のストックスペースを、境界を設けずにレイアウトした。ショップは週末の3日間営業する。「洋服が人の手で作られていることを認識するきっかけにしていきたい」と島瀬さん。来店客は、陳列された洋服を見る延長で、ミシンやアイロン、プロッターで作業する現場を体感することができる。タクタクにとっては、外の人に見られることで「どこに何を置くか考えるし、行動に対する意識が生まれる環境になりそう」だ。
島瀬さんとパタンナーの島村幸大太さんは今春、エイ・ネットから独立し、タクタクを設立した。コロンを作った背景には、人と共有する関係性を見つめ直したことがある。「コロナ下で、限られた親しい人と自宅で会う機会が増えて、自分の部屋=居場所の大切さを感じるようになった。ブランドとしてやっていく上でも、お客さんに、自分たちの素の部分を見て感じてもらう居場所を作るべきだと思った」という。部屋の随所には、昔から使っているスピーカーや真空管テレビ、自宅で飾っていたオブジェなどを置いている。ショップスペースの中央には、のりの跡がむき出しにした床にガラス板を置いた1畳サイズの展示空間を設けた。「1」「位置」「市」をキーワードに、様々な展示イベントをする予定だ。