メンズ主力のネクトリー 飽きないデザインの上質服を

2019/04/05 06:26 更新


 ネクトリー(岐阜県羽島市、足立貴志社長)は、メンズ中心の「トローヴ」など、素材と縫製にこだわった上質なウェアを製造・販売する。東京の直営店や自社サイトとゾゾタウンでの通販、セレクトショップなどへの卸のほか、OEM(相手先ブランドによる生産)も手掛ける。「事業を大きくするより、本質を追求したい」と、商品企画や物作りに磨きをかけ、長く着られる服、心地よくリラックスできる服作りを目指す。

(神原勉)

原点は「服が好き」

 足立社長は、繊維業を営む家に生まれた。祖父が縫製工場の足立商店(羽島市)を創業。2代目社長の父を兄が支える。自身も「服が好き」で入社し、洋服作りを学んできたが、ファッション性の高い服を作りたいと、05年にネクトリー事業部を立ち上げ、17年に法人化した。事業部時代からの主力ブランドであるトローヴは07年から数シーズン、東京コレクションに参加、08年には東京・渋谷に直営店をオープンした。

 現在、トローヴのほか「フランダースリネン」とコットンを交織したオリジナル素材を使った「アタカ」、洋装の生地を和装に仕上げた「ワローブ」、刺し子を現代的に表現するバッグ・小物ブランドの「サシビ」を展開する。基本的に、国内の素材を使って国内で縫製する。足立商店の本社ビル1階にあるネクトリーの工房のほか、ネットワークを活用して羽島市や周辺の工場にも依頼している。

 社員は6人。デザインチームは足立社長と東京のスタッフの合計3人だが、営業も販売もこなし、幅広い客層の意見を企画に反映する。縫製部門には若い女性が入社し、戦力となっている。技術の修得には時間がかかるため、継続して若い人材を採用する。繁忙期には納期に追われ、残業の続くイメージがあるが、同社では忙しい時期でも「休みたいときに休む」。無理をしても続かないからだ。

本社の縫製ライン。裁断から仕上げまでできる設備を整える

顧客との接点重視

 過去の苦い経験から、現在、直営店とネット販売に力を入れている。かつて、立ち上げから順調に伸びていたトローヴの売り上げが急降下した時期があった。要因を「顧客が飽きたのではないか」と分析したが、「飽きのこない服」を作ろうにも販売を卸し先に頼っていたので顧客のことが分からない。その反省から、顧客との接点を重視するようになった。

 もっとも、「当社のブランドが好きで扱っていただいている卸し先との関係も大切にしたい」との考えは変わらない。

「拡大よりも好きな服を作り続けたい」と足立社長


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