「大切な10人に届ける服のメッセージ」をタグラインにした紹介制のオンラインストア「ヴァティーク」が5月下旬にオープンした。運営するヴァティークは、大手専門店の経営者でもある水野敦之氏が個人で立ち上げた企業。日本の熟練の技を生かし、ミニマルで実用性のあるアパレル製品を、廃棄ロスを極力なくしたシステムで販売する。
素材は全て、水野社長が国内のサプライヤーと話し合って選んでいる。シンプルで人を選ばないパターンを心がけ、現段階ではモノトーンで35製品を扱う。インド産スーピマ綿の80番双糸を使った高密度の綾織りのシャツ(4万円)、旧式のつり編機で作った裏毛のスウェット(5万円)などの日常着をユニセックスで揃えた。リサイクルポリエステルを使ったノーカラージャケット(10万円)は、生地の密度とハリ感を調整してシャープなフォルムを立たせるなど、着心地やシルエットを踏まえて素材を設計している。
ECサイトでは、全商品の詳細を確認できるが、購入できるのは紹介された人のみ。一人の客は最大10人を招待できる。
水野社長は「大量生産でないこと、無駄な商品を作らず、ブランドと商品に興味を持ってくださった方が、欲しいと思うものを商品化する循環システムを構築していきたい。日本のクラフトマンシップの製品を、お客様に適切な数量を販売していくために必要なシステム」と話す。需要と供給のバランスを調整し、ユーザーの要望の商品化、カスタムオーダーの受注会に取り組む方向だ。
オンラインストア開設について水野社長は、「米国のベネフィット・コーポレーションのような形態の企業とブランドビジネスを日本でも実現すべく立ち上げた。ステークホルダーとの関係はもちろん、新たな社会の創造と実現に向け消費者に様々な価値を提供する一翼を担えればと考えている」という。立ち上げを記念して7月1~3日には、紹介者の有無を問わずに購入できる催事販売を行う。