《視点》技術革新を生かせるか

2017/05/16 04:00 更新


 国内でのもの作りへの関心が伝えられる昨今だが、某ミシンメーカーによると、アジア圏の方が最新鋭のデジタルミシンの売れ行きがいいという。中国やアジアでは、PLM(製品ライフサイクル管理)や自動化ラインへの関心も高い。効率的に生産するシステムは大量であればあるほど効果を発揮する。ロットが小さく、中小の縫製企業が多い日本では関心はあるものの、そこまでの投資に踏み込む企業が少ないのが実情なのだろう。

 縫製機器メーカー各社がこの間進めてきた革新は、デジタル化、脱技能化による「技術の底上げ」と効率化だ。

 これは世界中どこでも同じような製品が作れることを可能にする技術であり、縫製の完全自動化なども遠い未来ではない。そう考えると「日本でものを作ることの意味は何なのか、海外ではできないこととは何なのか」を改めて考える必要がある。

 日本でのもの作りにはマーケットに近く短納期に対応できることや、物流コストが比較的少なくてすむといった立地上のメリットがある。技術革新を自らの武器にできるかどうか、今はその分水嶺(ぶんすいれい)に立っているのかもしれない。(騎)



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