名古屋入管に収容されていたスリランカ人女性が3月に亡くなった問題で、日本の出入国管理行政が問われている。女性は留学のために来日したがビザが切れ、収容後に体調悪化しても治療を受けられず、異国で命を失った。不法滞在の取り締まりは必要としても、入管施設での収容者へのひどい扱いやそもそも日本の難民認定割合が低いことは以前から問題になっていた。
繊維ファッション業界にとっても全く無関係ではない。縫製業を中心に多くの製造現場で海外からの技能実習生を受け入れているが、低賃金などを理由に失踪する技能実習生が後を絶たない。
この制度をめぐっては、来日時に多額の手数料を払わされ、それが日本の監理団体への接待などに使われているという構造も指摘される。米国務省は人身売買に関する毎年のリポートで、日本の外国人技能実習制度の問題を指摘し続けている。
新疆ウイグルの問題をきっかけに、日本のアパレル業界でも人権への配慮が重要だと認識されだした。海外生産におけるトレーサビリティー(履歴管理)も大事だが、足元で起こっている問題が世界からどう見られているか、考える必要がある。
(恵)