「なぜコロナ前の延長線上の数字(業績)にこだわるのか。もうニューノーマルの時代に転換している。そこからの成長を考えればいい」。そう言い放つのは現金卸業者の4代目後継者。彼は大学卒業後、アクセンチュアを経て家業に入った。従来の問屋事業にとどまらずホテル経営やレストラン、アートギャラリー運営など、拠点とする東京・日本橋馬喰町で事業を広げている。
30年以上続いたビジネスホテルを全面改装し、ギャラリーやフレンチレストラン、カフェなどの文化施設を併設することで、同地域のデジタルベンチャーたちが集う場所になりつつある。新進気鋭の料理人が率いるレストランは「心の栄養」をテーマに掲げ、「ミシュランガイド東京」で今年も星を取った。地下立体駐車場をリノベーションしたギャラリーでは「アンリアレイジ」の作品をフィジカルとデジタルで展示する催しを行うなど、常にユニークなアートを発信している。
「ウィズコロナで経済活動はもう止まることはない。今から業績は上がるだけ」と、新たに創出する市場を見渡している。
(民)