27年春夏の東京のファッションウィークや展示会を回って、感じることがある。30代や20代の東京のデザイナーのクリエイションはほぼ、日常の延長にあることだ。欧州メゾンの研ぎ澄まされたシェイプライン、きらびやかな装飾の世界とは異なり、身近なところから始まるファンタジーに魅力がある。アニメや漫画にも通じるが、日本人のDNAなのだと思う。
例えば、「ピリングス」のゆがんだシルエットは、数シーズン前、丸めて捨てた紙の形にヒントを得て発展した。そこに毎日が淡々と過ぎていく日本人の社会性や庶民感覚が反映されている。小説のようなストーリー性を持った洋服に等身大の夢があって、スタイルが良くなくても「着てみたい」と思わせる力が存在している。
ハンドクラフトの柔らかさも東京ブランドの大きな強みだ。ピリングスは手編み職人のチームと連携し、「タナカダイスケ」は手刺繍のチームを自前で組織している。「ユウショウコバヤシ」に至っては量産もほぼ自社スタジオだ。他人任せにしないで、日本人が愛情を持って作り上げる、そこにラグジュアリーさが生まれている。
(渉)
