スポーツの放映権高騰による有料配信化や音楽ライブのオンライン配信の定着など、エンターテインメントの鑑賞スタイルは急速にデジタル化・個別化が進んでいる。かつてのように誰もが同じ画面を同時に囲む光景は減り、関心のある人が個別にコンテンツを購入する時代となった。
その一方で価値を高めているのが「リアルな場での体験」だ。スタジアムやライブ会場へ足を運び、空間や感情を多くの人と共有することへの欲求は、以前にも増して熱を帯びていると感じる。
この潮流はファッションにも波及している。単なる観戦グッズやツアーTシャツにとどまらず、日常の街着としても洗練されたアパレルや、現地での高揚感や思い出を形に残す限定アイテムの需要が拡大している。デジタル化で効率よく消費できる時代だからこそ、人々は同じ瞬間を「肌感覚」で味わえる場と服を求めているのだ。
画面越しでは得られない熱量を人々に届け、特別な体験の余韻を記憶に刻む提案こそが、これからの消費の質を高めていく。
(樹)
