ガラスビーズのトーホー 眠る素材に新たな価値、独自企画でファンをつかむ

2026/10/16 12:00 更新NEW!


海外限定色や形状が人気の蔵出しビーズ

 国内外で知られるガラスビーズメーカーのトーホー。高い精度の製品作りを維持する一方、海外特注品の余剰在庫を価値化した「蔵出しビーズ」や、他産業と連携したセレクトブランド「トーホービーズマテリアルズ」など、次々と企画を打ち出している。

一期一会の魅力

 「世界一揃ったビーズを作れ」という創業者の号令のもと、コスト度外視で開発されたフラッグシップ商品「アイコビーズ」をはじめ、丸ビーズから各種形状まで幅広く展開しているトーホー。ミシン刺繍の際に使うビーズ「キュービーズ」なども高い精度を追求しており、ガラス工芸品特有の色のぶれや欠け、形状のゆがみを抑える品質管理体制が、国内外の手芸ファンやクリエイターから支持を得ている。

 蔵出しビーズは、日本国内の通常品番にはない海外限定カラーや形状で人気だ。海外向けの受注生産で多めに製造した分を日本で通常手に入らない限定品としてブランド化。一期一会のプレミアム価値が作家に受け入れられ、主力商品へと成長した。サンプル送付用に開発したジップ付き袋をそのままパッケージに採用した点も、収納・保管しやすいと好評だ。自社ギャラリーでの実験販売からSNSの口コミ、バイヤーの評価を経て全国の主要店舗へと広がっている。

 近年では自社ビーズにとどまらず、優れた技術を持つ他産業の工場や職人との連携も強化。トーホービーズマテリアルズとして、素材の背景とともに商品価値を届けている。

 高い塗装耐久性を誇る大阪の「Xパール(人工真珠)」や、色チェック用の試作品を希少価値として提案する「ファーストテイクパール」、東京のプレス工場と作った「真鍮(しんちゅう)三角トレー」、フランスの95歳のマダムから引き継いだ60年以上前のビンテージスパンコール、伊勢の規格外アコヤ真珠、靴製造の端革を活用したアップサイクルレザーなど、職人のこだわりが詰まった素材を販売する。

時代の流れに沿う

 クラフト市場は、「自分だけの世界に一つの作品を作る、感性や可愛さを楽しむ方向へと価値観が大きくシフトしている」(山仲元常務)と見る。高品質で物語のある素材への需要は依然として堅調で、楽天市場などのモール型ECでの導線設計や広告最適化によりネット販売が伸びるなど、デジタルでのアプローチも強化している。

山仲常務

 「常に時代の流れに沿えという創業者の教えに基づき、現在はAI(人工知能)技術を活用したアプリ開発に注力している」と話す山仲常務。言葉からビーズのカラーイメージを抽出する検索ツールや、ゲーム、英語学習、AI作曲による作業用BGMなど、ビーズに親しむ新たな接点も作っている。

東京にあるショップ兼ショールーム

 10月に広島で開くビーズの祭典「ビーズビエンナーレ」や、ビーズリングで世界をつなぐ「ピースリングプロジェクト」、広島市とベネチア市の交流事業の一環としての「ヴェネツィア・グラス・ウィーク」への出品など、文化交流と地域社会・世界への貢献も重視する。「他産業やファンの方々とのつながりを大切にしながら、楽しさと可能性を広げていきたい」と話す。



この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事