吉田、「自ら作り・売る」で世界へ㊤ どん底を味わって全てをリセット

2024/03/13 07:58 更新会員限定


 自ら作り、自ら売る――バッグの「ポーター」主力の吉田(東京)にとってコロナ禍は、従来の商慣習から抜け出し、新しいビジネスへ転換するきっかけになった。ポーターの人気シリーズで昨年40周年を迎えた「タンカー」は、植物由来100%のナイロン糸を作る東レと組んで生まれ変わる。新たなスタンダードとしてグローバルな市場に挑む戦術だ。会社の存続をかけた大きな変革であり、自社ブランドの本質的な価値を高める試みでもある。

販売の全国巡業

 世界的なコロナ禍は、かばん業界に大きな打撃を与えた。吉田も例外ではなかった。行動制限が続いた時期は売れず、展示会の受注がキャンセルされることもあった。コロナ禍がいつまで続くか分からなかった当時、経営陣は「卸依存で本当に大丈夫か」など詰めた議論を重ねた。結果、自ら一般消費者と接点を持つ営業活動に踏み出すと決めた。

 業界には長年の商慣習がある。厳格な分業制のもと、問屋は〝餅は餅屋〟の考え方で、「作る」「売る」はそれぞれのプロに任せるのが当たり前だった。だが、コロナ下では卸先にすら出荷できない。となると自分たちが作った物を自ら売るしかなかった。

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