洋服の焼却処分や食品ロスなど、廃棄にまつわる課題は各業界にあるが、生花も同様の課題があるようだ。河島春佳さんは「花の命を全うさせたい」と、廃棄される花や植物をよみがえらせる〝フラワーサイクリスト〟として活動している。
東京家政大学服飾美術学科を卒業後、スタイリストのアシスタントなどをしていた河島さん。好きな花を仕事にしたいと生花店で働いていた時に、廃棄される花の量にショックを受けた。河島さんによると、店舗販売では仕入れた花の30~40%が廃棄され、結婚式やイベントの装飾に使われた花もそのまま廃棄されることが多いという。河島さんは廃棄される花や植物を〝ロスフラワー〟と呼ぶ。
廃棄される花や植物を回収し、ドライに加工して染色し、花束やアクセサリー、オブジェなどを作っている。平日はオフィスの花の生け込みの仕事もしており、使い終わった花もロスフラワーとして活用している。ドライにするとどんな花を組み合わせても雰囲気に統一感が出るため、無駄なく花を使えるという。
今年1月にはパリの生花店へ花の技術を学びに行った。資金は自身のフェイスブックで告知し、実施したクラウドファンディングで集めた。パリではドライフラワーと生花で2回、ワークショップも開いた。
大学で学んだ服飾と花の技術を融合しながらロスフラワーの活用の場を広げたいと考え、今年9月に合同展ルームスエクスペリエンスに初出展した。「アパレルに関わりたいというのは原点にある。今、そこに近づいてきた」と河島さん。ルームスではアクセサリーやオブジェのほか、クリノリンを土台に作ったドライフラワーのスカートを展示し、来場者の目を引いた。
今後、花の回収量を増やしたくさんの作品や商品を作りながら、アパレルやジュエリーの店舗ディスプレーやイベント装飾などでロスフラワーを活用してもらいたいと考えている。