【ミラノ=小笠原拓郎】16年春夏ミラノ・メンズのトレンドは、ユーティリティー、エスニック、フェミニティーの拝借、軽さ、リコンストラクト(再構築)、ラグジュアリーストリートといったもの。いずれも、ここ数シーズンの流れを受け継ぐ形で広がっているが、最も話題になりそうなのがフェミニティーの拝借だ。女性服の要素を取り入れたもの、男女ペアで着られるような服が広がっている。ただ、そこだけに限定してしまうと市場規模は限られる。フェミニティーを取り入れたスタイルを作りながら、単品では着回しのできるアイテムを揃えるといった工夫も必要になる。
グッチは、アレッサンドロ・ミケーレがクリエーティブディレクターに就任して初のメンズコレクションを見せた。そのコレクションはナードで繊細。既存の男性らしさや女性らしさなどの性差を超えた新しい男性像を探っている。大きなフレームのメガネをかけたモデルが着るのは、フレアラインのパンツやスーツ。
セーラーカラーのシャツやロングポイントのシャツにはリボンが揺れる。スーツには花の刺繍が前面に描かれ、レースのブラウスの胸元にネックレスのような刺繍がされる。チェックのスーツにはクロシェのトリミング、ジョーゼットのシャツはフリルでトリミング。木や鳥、チョウや花の刺繍がいっぱいだが、その一方で、ウエスタンシャツのカウボーイをモチーフにした刺繍でちょっぴりマスキュリンの方向へも振れる。ナイーブでおとなしいロマンティックな男性像は、今の流行の一つなのであろう。ブランドイメージを変えていきたいのは分かるが、この変化を市場はどう受け止めるであろうか。
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