東日本大震災から10年 教訓をコロナ禍に生かす

2021/01/01 06:28 更新有料会員限定


震災直後に全壊した石巻市の本工場を訪れた松丸社長

 東日本大震災から10年。復興の途上での新型コロナウイルスの感染拡大――未曽有の危機はもはや、いつでも起こりうる。震災で学んだ教訓や、震災を契機に浸透したソーシャルグッドの考え方は、明日を作るための基盤になる。

■カットソーのマツマル 地元に根ざし雇用を守る

 宮城県石巻市の自社縫製工場が東日本大震災で大きな被害を受けたカットソー製品のマツマル(東京)。沿岸部の雄勝地区の本工場は津波で全壊、分工場も1階が浸水し、建物を取り壊した。松丸喜一郎社長は「避難した地元の従業員を一日も早く石巻に戻したい」との思いから再建を急いだ。

(大竹清臣)

 大手アパレルが閉鎖を決めた生産子会社の工場社屋を11年9月に買収し、11月には修復工事に着手した。翌年2月には石巻市街地で新工場を本格稼働し、グループの新潟工場に避難していた従業員を呼び戻すことができた。避難した約1年間で石巻と新潟の従業員同士の交流が深まり一体感が生まれた。両工場で相互連携し協力し合う体制が築けた。「工場や財産は失ったが、従業員との絆は強まった」と振り返る。復興には時間軸が重要。石巻市の復興も堤防など街のインフラは早く進んだが、他地域へ移った人は数年経つと戻ってこない。「本当の復興は10年、20年スパンで考える必要がある」と話す。

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