ラグジュアリーストリートの次の一歩は?
【ロンドン=小笠原拓郎】17~18年秋冬ロンドン・メンズコレクションに、鮮やかなカラーブロックやデコンストラクトのデザインが登場している。ヒップホップカルチャーを背景にしたラグジュアリーストリートの台頭により、注目の的となったロンドンの若手たちだが、次の一歩をどう踏み出せるかが問われている。
クロシェの装飾…JWアンダーソン
JWアンダーソンはクロシェニットやチャンキーニットなどをふんだんに使った。セーターやブルゾンのポケットや身頃にクロシェニットをアップリケしてアクセントに、靴のアッパーにもニットパーツを飾り、歩くたびに足元がひらひらと揺れる。ストライプシャツはランドスケープのようなぼんやりした柄の切り替え。チャンキーニットのセーターはロングスリーブや床を引きずるニットマフラーと合わせて、ボリュームたっぷりで着る。
メルトンコートも袖がチャンキーニットの切り替えだ。パンツはワイドシルエットやサルエル、ハーレムパンツ風などさまざま。そのバランス感は微妙でとらえがたい。かつてミニマリズムとしてと評価されていたジョナサン・アンダーソンのデザインは、どんどん装飾過多になっている。それでも前シーズンまでは、まだひんやりとした空気に包まれていたのだが、秋冬はクロシェや色使いのせいかノスタルジックな温かみのようなものも感じられる。クロシェパーツはアイコニックかもしれないが、難解なバランスのコレクション。

ラグジュアリーストリートでロンドン・メンズを引っ張ってきたアストリッド・アンデルセンは、秋冬らしい柔らかな色でエレガントな要素を強めた。とはいえ、メインのアイテムはトラックスーツやフードの付いたコート。そこにコーデュロイとキルティングといった英国の伝統的な素材とベルベットや刈り込みファーの艶やかな光沢を組み合わせる。ダークネービーとプラム、キャメルの色合わせと、繊細なフェザーのプリントを重ねてリッチな気分を加えた。

Eトウツは80年代を思わせるテーラードスタイルを現代にどうフィットさせるかに挑戦している。スクエアショルダー、深い前合わせ、太めのラペル、ワンタックのテーパードパンツは短めの着丈で合わせる。シャツの重ね着もポイントで、スナップボタンのシャツやタブ付きのシャツを2枚重ねる。スポーティーなジップパーカもゆったりしたパンツと合わせてクリーンなイメージに。
(写真=catwalking.com)