【ミラノ=小笠原拓郎、青木規子】20年春夏ミラノ・コレクションは、軽やかでエアリーな空気感や自然回帰が大きな流れになっている。南国系のトロピカルな草や花の柄、淡いトーンと透け感のある素材などがトレンドとして浮上している。
(写真=大原広和)
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フェンディはカール・ラガーフェルド亡き後、シルヴィア・フェンディ1人による初めてのレディスプレタポルテを発表した。これまでフェンディのスタイルを引き締めてきたカール特有の強さや毒気は消え、女性デザイナーならではの明るく心地良いムードがぐっと前に出てきた。これまでとはひと味違う新しいフェンディが、いい形でスタートを切った。テーマはキャンピング。6月に発表したメンズのテーマはガーデニング、7月のオートクチュールも自然がイメージソースになっており、自然回帰の流れがレディスプレタにも反映された。
無造作にツインテールを結ったモデルたちは、ルームウェアやワークウェアをベースにした若々しいミニスタイルで軽快に登場した。ボックスシルエットのキルティングブルゾンやケーブル編みのニットシャツに、ミニスカートやショートパンツ。ブラとショーツにはガウンをさらっと羽織る。それらはペールピンクやハニーカラー、茶系のピーカンカラーで柔らかく彩られている。鮮やかな南国風のリーフ柄やレトロフラワーも強過ぎず、自然になじんでいて60年代の楽観的なムードが漂っている。ゆるっと履いたソックスにローファーやサンダルを合わせた足元も若々しい。ワークテイストのファーブルゾンやブロックチェックのファーコートが、フェンディらしいブルジョアな雰囲気をプラスしている。シルヴィアのローマでの生活や夏の日々が表現された。


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