【パリ=小笠原拓郎、青木規子】20年春夏パリ・コレクションには、前シーズンに続き女性らしさを重視したスタイルが広がっている。凛(りん)としたエレガンスであると同時に、心地良いリラックス感も併せ持つスタイルが新鮮だ。
必須アイテムはセミフレアドレス。コットンポプリンやコットンレースのナチュラルなタイプから、ラメ入りのシフォンで仕立てた70年代調まで、さまざまなタイプが出ている。
(写真=大原広和)
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ロエベの会場は、透ける白いカーテンがドレープを描き、柔らかな穂の大きなススキの鉢と水晶が置かれている。新作はその空間に溶け込むような、布のドレープを生かしたエレガントなライン。
中心アイテムはナチュラルな天然素材で仕立てたセミフレアを描くロングドレス。グラフィカルな模様の白いコットンレースや淡い色のコットンポプリンといった軽くて爽やかなテキスタイルが使われている。
ワンカラーかグラデーションですっきりと優しい印象だが、部分的に取り入れたドレープやマクラメ、ストリングスといったディテールが布に動きを生み出す。ナチュラルなコットンドレスは腰の脇にボーンを仕込んで四角く張り出すフォルム。
パール刺繍のブラトップやファートリミングのニットなど、さまざまなディテールを程よいさじ加減で盛り込んでいく。レースのドレスにデニムのコートのフロントパーツを重ねたり、リネンのセットアップのヘムにドレープをたくし込んだり。パール飾りのベルトや淡い色のファーバッグ、ローファー型のサイハイブーツなど雑貨もひねりが利いている。


オリヴィエ・ティスケンスはいつになくシンプルなラインを見せた。黒やベージュのワントーン、ビュスティエ、ブラトップ、ランジェリーのミニマルスタイルでショーは始まった。艶やかな光沢のペプラムドレスで美しいフォルムを強調し、ここからさらに展開していくのかと思いきや、ベルベットのミニドレスやレザーのベアトップドレスと再びミニマルなラインへと戻っていく。
ドレスはボディーに細かくタックをとって、フォルムを形成するテクニック。ストライプドレスもスカート部分をタックでつまみながらフォルムを作る。ショーのバックに流れるのは、シンディ・ローパーのヒット曲「ガールズ・ジャスト・ワナ・ハブ・ファン」をスロー回転にして流したもの。女の子の楽しさを表現した曲がいびつに歪む曲調と、ミニマルなランジェリーやドレスがタックでつままれて形となることが、シンクロして見えてくる。
いつものオリヴィエ・ティスケンスのゴシックやダークなムードは感じさせず、もっと自然体のナチュラルな雰囲気が漂っている。

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