22~23年秋冬ミラノ・メンズコレクション アウトドアを背景にしたスタイル広がる

2022/01/19 06:28 更新


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 22~23年秋冬ミラノ・メンズコレクションは新型コロナウイルスの変異株による感染再拡大に伴い、フィジカルショーとデジタルでの発表が混在するものとなった。アウトドアの機能性やスポーツの要素を取り入れたアクティブなスタイルが広がっている。

〈フィジカル〉

 ドルチェ&ガッバーナのショーの冒頭に登場したのは、米国ラップ界のスター、マシン・ガン・ケリー。パールとスタッズで埋め尽くされた白いスーツで現れて歌い、度肝を抜いた。トレンドにとらわれず、ラップのロジックをパンク、エモそしてオルタナティブとクロスオーバーさせるという彼の音楽は、今回のコレクションの根底に流れる現実世界を超えてアイデンティティーを獲得する仮想世界“メタバース”への憧れへとつながる。極端に広く厚みのあるワイドショルダーに仕立てウエストを絞ったブレザー、キルティングのロングコートやスノボーウェアは体が埋もれるほどもこもこ。カラフルなフェイクファーのオーバーサイズのトラックスーツ、プラスチックや輝くテクノ素材、伊アーティストのロッコ・ペッツェッラによるグラフィティーアートが服の上で弾ける。

ドルチェ&ガッバーナ

 メタリックなニーハイブーツや流線形のスニーカー、ジェンダーレスなスカートやワンピースのルックもある。現実にとらわれない極端なプロポーションや、未来的な質感で、バーチャルな世界で自由に生きる感覚を服に投影した。Y2Kのリバイバルでファッションの持つ勢いと楽しさを知った新世代に向けて、何ものにもとらわれずに服を着るという楽しいチャレンジを提案しているようにも見えた。

ドルチェ&ガッバーナ

 フェンディは、第1次世界大戦後の、経済が栄え社会や芸術がパワフルに発展を遂げた「狂騒の20年代」に思いをはせた。コロナ禍のトンネルから抜け出して羽ばたくような、自由でライトな新しいクラシックとダンディズムを表現した。テーラードジャケットやコートは、ケープのようにデフォルメされ軽やかに揺れる。オーバーサイズのシャツやトレンチコートには、チェーンが連なる新しいモノグラム柄「オーロック」が踊る。自由な精神は、着こなしのジェンダーも乗り越える。ワイドパンツは後ろから見るとスカートのように見える仕立て。ブラックのフォーマルジャケットの襟ぐりは大きく開き、鎖骨をみせる。コートからバッグまで同じギンガムチェック柄で揃えた“良家の子女風”なコーディネートも。レディスのアイコンバッグ「ピーカブー」は大型ショッパーに、「バゲット」は斜め掛けできるミニチュアのチェーンバッグやメタルとプレキシーグラスのハイテク風なイメージとなって登場した。21世紀の紳士に欠かせないアクセサリーとして、超小型の「バゲット」をかたどった、仮想通貨ウォレット「レジャーナノX」を発表した。

フェンディ

(ミラノ=高橋恵通信員)

〈デジタル〉

 ディースクエアードは、アウトドアのスポーティーなアイテムとストリートスタイルのミックスを見せた。ダウンジャケットやダウンのケープ、マウンテンパーカにマウンテンブーツ。そこにクラフトタッチのレトロなニットやポンチョを組み合わせていく。ボンバージャケットやシアリングのアウター、ミドリフ丈のダウンジャケットなどレイヤードでボリューム感と色を重ねる。伊ブランドらしいのは「インヴィクタ」とのコラボレーション。リュックのほか、プルオーバーも登場した。アウトドアの機能的なアイテムとレイヤーリングによる配色の楽しさで快適でポップなスタイルに仕上がった。

ディースクエアード

 ゼニアは、ピエモンテ州の自然保護地区を舞台にした映像を配信した。雪山と室内という舞台を巧みに変えた映像で、雄大なアウトドアからインドアまでシームレスに対応するスタイルを表現した。機能性がありながら個性的、快適でありながら型にはまらないスタイルを目指した。トラペーズラインのコートとテープ加工されたテクニカルシルクのインナーシェルの組み合わせ、ウールのアノラック、上質なレザーはカシミヤとボンディングしてシャツに仕立てた。裾を絞ったパンツラインやアウターを飾るパッチポケットやジップディテールが、機能的な雰囲気を強調する。ざっくりとしたボリュームニットが温かなアウターウェアとして使われる。ライフスタイルの変化とともにテーラーリングを主軸にしていたゼニアが、機能的で様々なシーンに対応したミックススタイルへと変貌(へんぼう)を遂げている。白をベースにしたトーンからブラック、マホガニーブラウンやビンテージブラスといった色で見せた。

ゼニア

(小笠原拓郎)

 デザイナーの故郷ロマーニャの歴史や文化、自然をテーマにしてきたフェデリコ・チナ。これまではニュートラルな印象だったが、伝統技術である木版印刷を使うなど、今シーズンはいつもより“ファンキー”な印象だ。注目したのは77年にラベンナの街に誕生した3000人規模のダンスホール「カ・デル・リーショ」。このマスに向けたエンターテインメントに集った人々のシルエットがグラフィックとして、袖を大きくカットオフしたスリーブレストップに描かれた。シルキーなプリントシャツにワイドパンツとレトロ感はあるが、どちらかというと90年代のレトロリバイバルのシルエットだ。その一方で、クロップト丈のセーターやニットパンツに、チャンキーなスカーフ、ニットがロマーニャの緑をつづり、温かみを加えた。ワインの産地ロマーニャを表現した、シグネチャーのブドウ柄も健在だった。

フェデリコ・チナ

(ライター・益井祐)


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