香港発でリュック主力のバッグブランド「エイブルキャリー」が日本での販売を本格化させる。客のニーズや要望を吸い上げて企画した高機能な商品を武器にECでの販売を伸ばしてきたが、アウトドア用品の輸入・卸主力のハイマウント(東京)と代理店契約を結び、バッグ専門店やセレクトショップへの拡販を狙う。
(高塩夏彦)
同ブランドは19年スタート。香港でバッグなどを扱うライフスタイル商品のセレクトショップ「ジグザグ」を営んでいたジュリアン・チョウCEO(最高経営責任者)が、顧客の要望に応えられるリュックがなかったため、クラウドファンディングでオリジナルのバッグ「デイリーバックパック」を企画したことが立ち上げのきっかけだ。
同モデルの最大の特徴は1本のショルダーストラップをバッグの底部で〝A〟の形に縫い付けた独自構造「Aフレーム」だ。背負うと腰と背中全体で支えるような形になるため、肩に負担がかかりにくいほか、底部に安定感があり、物が入っていない状態でも型崩れせず、自立するメリットもある。
素材には米ディメンション・ポリアントのヨットの帆用の生地「Xパック」を採用。高い撥水(はっすい)性と耐久性を持ちながら、非常に軽量に仕上がっている。
当初はオリジナルブランドと公にせず店頭に並べたが、販売開始から1年で店で一番売れるリュックとなったことから可能性を感じ、エイブルキャリーを設立。ジグザグを閉店し、同ブランドの運営に専念することを決めた。
主な販路は越境ECで、米からの購入が最も多い。日本でも高感度層を中心にSNSなどで重さを感じにくい〝無重力バッグ〟として話題になり、売り上げが急拡大している。
「現在、日本は米に次いで売り上げが多い国になっており、本格的に日本市場へ参入したいと考えた」とチョウCEO。「香港と日本の都市は電車移動の多さなど、ライフスタイルが似ている点が好調の要因では」と見る。
代理店契約を結んだハイマウントについてチョウCEOは「日本市場に精通した信頼できる企業」とし「ライフスタイルとアウトドアの両軸から販路を開拓できるだろう」と期待する。
既に全国のMoMAデザインストアなどでの販売が始まっている。今後はハイマウントと協力しながら、ファッション色の強いセレクトショップや地方の専門店へも販路を広げていく計画だ。
日本の生活様式に合致
エイブルキャリーCEOジュリアン・チョウ氏の話
エイブルキャリーは都市での使用を想定して企画したシンプルで都会的なデザインと高い機能性が魅力のバッグブランドです。日本の生活スタイルにも合致する商品だと思っています。人気商品はデイリーバックパックをベースにポケットの位置や数をアップデートした「デイリープラス」(税込み3万5200円)。これを主力に女性も使いやすい小ぶりなモデルなどの販売も強化していく考えです。日本は物作りの国という印象があります。高品質な商品が多く売られている中で、私たちの商品を選んでもらうのは簡単なことではありません。商品のクオリティーの維持と顧客の声を吸い上げた新商品の開発が重要になってくるでしょう。また、マーケティングも強化し、適切な販路を常に模索していきたいです。