23年創業のアシッドハウス(岡山・児島) 産地に欠かせない検品・仕上げ担う 物作りにも着手

2024/01/17 11:00 更新


仕上げ場を設ける動きが少ないからこそ創業した長尾代表(右)と妹尾工場長

 ジーンズカジュアル産地の児島で、23年2月に創業したカジュアルウェアの検品・仕上げを手掛けるアシッドハウス(岡山県倉敷市、長尾敦代表)が意欲的な動きを見せている。本業に加え、オリジナルブランドで地元のジーンズ加工職人と物作りにチャレンジ、今年1月からは縫製部門も本格化する。

 アシッドハウスは、倉敷市出身の長尾代表と、工場長の妹尾彩花さんが中心になってスタート。児島では検品・仕上げのニーズが多くあるものの、「夏は暑いなど楽な仕事ではない。華のない仕事でもあり、新しく仕上げ場を作る人は少ない」。一方で、「機械化することは難しく、人の手が欠かせない分野」であることから、あえて立ち上げた。「簡単な仕事のイメージだが、奥は深く、利益を出すのは難しい。経験者でなければ様々な物が入った時に工程をうまく組み立てられない」と言う。

 「検品やアイロン仕上げは地味な作業だが、お客様に最も近い最終工程。製品の完成形も見られて面白く、気持ちも高まる」と、仕上げアイロン工場の妹尾工場長。「こんな仕事があることをもっと知ってほしい」と考え、本業のほかに自社ブランドも立ち上げて発信もしている。取引先の加工職人と協力したジーンズをはじめ、トレーナーやTシャツ、帽子などを打ち出している。

自社ブランド「アシッドハウス」で意欲的に発信もする

 従業員は14人で、平均年齢は40代とスタッフ数も集まってきた。仕上げ作業についてはまず、扱うブランドのテイスト、縫製・パターンなどの物作りの特徴、そしてデザイナーが表現したいことなどを頭に入れ、そのブランドに応じたベストな形を目指している。「取引先のお客様もだいぶ増えてきた」(長尾代表)と振り返るように、初年度の売り上げ目標はすでに達成した。

 比率はまだ低いが、少しずつ国内生産を軸にしたOEM(相手先ブランドによる生産)受注もしている。24年1月には倉敷市児島産業振興センターにある施設「デザイナーズインキュベーション」のレンタルオフィスの利用もスタート。同施設にある各種ミシンなども活用し、縫製部門もスタートした。

検品やアイロン仕上げをする工場内

 今後については、「本業は裏方だが、地元のイベントに参加するなど、引き続きもっといろいろな形で表の場に出たい」と笑顔を見せる。将来は仕上げアイロン工場、縫製工場、裁断場もあるビルで一貫の物作りが出来れば」と考える。



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