アダストリアは10月27日、インフルエンサーに向けて自社開発素材を紹介するイベントを初めて開いた。ウール調合繊「ウーリーテック」と中わた「エアサーマル」で仕立てたアウターを用意。実際に触れ、着てもらい、SNS投稿が拡散され「コミュニティーに情報が広がる」ことで潜在顧客へのアプローチを狙った。
ここ数年、自社素材の開発・活用を全社で強めており、客層やテイストの異なるブランドが使うようになってきた。1年ほど前からR&D本部との連携を深め、機能性や品質に加えてトレンドも意識。素材軸でファッションを楽しむ提案を追求している。
以前からECの商品ページやタグで「軽くて温かい」「心地良い」と特徴を説明しているが、リアルで体験してもらう機会が必要と考えた。各ブランドの店舗では販促や接客に力を入れており「小規模ブランドの店頭でウーリーテックの服が売れるなど成功事例があり、体験の大切さを感じた」ことも、今回のイベントを開催する後押しになった。
おしゃれする場面が増えるホリデーシーズンに合わせ、ウーリーテックとエアサーマルのアウターを10着ずつ揃えた。ブランドは「グローバルワーク」「ニコアンド」「ハレ」など。様々なデザインからお気に入りの一着を選ぶ楽しさを感じてほしいと、会場に並べたトルソーにはブランド名をあえて掲示しなかった。
社外から80人、自社EC内のコンテンツ「スタッフボード」で人気な従業員10人を招いた。従業員も招待したのは、社内の交流や社外とのコミュニケーションを促すきっかけにしたいとの意図から。インフルエンサーや従業員のファンに素材情報が広がり「自社が強みとする物作りを陰で支えている人の活躍が注目される」契機になればと期待する。
会場では素材の軽やかさを視覚で伝える演出にも配慮し、フォトスペースにはバルーンを置いた。