播州織物の産地、兵庫県多可町の機屋などの若手で構成する多可播州織ブランドプロジェクトによる商品開発が活発だ。プロジェクトメンバーで共有したものづくりの基準に沿い、各社は産地の強みである分業体制を生かしながらオリジナリティーのある製品に仕上げている。
産元商社の高邦商事は昨年から、アパレルの自社ブランド「サワリ」をスタートしている。春夏向けには経糸にオーガニックコットン、緯糸に麻を打ち込み、ふんわり軽やかに仕上げた生地でプルオーバーを企画した。ほかにも、手紡ぎによる柔らかさが特徴というタイ製ヘンプ糸などを打ち込んだ特殊な生地も使う。播州の織物は先染めが主力だが、播磨染工と協業して生地染めにも対応する。
小円織物は綿100%の手ぬぐいを作っている。多様な格子柄やストライプ柄などユニークなデザインが目を引く。生地はダブルガーゼ。膨らみと強度を持ちながら、吸湿・通気性にも優れる。「空気をまとっているような軽さや柔らかさも魅力」という。ダブルガーゼを重ねて作った四重のハンカチもある。
ドビー織が主力の橋本裕司織布は、生地の特性を生かした帽子を作った。同社はやさしくソフトに織り上げるのが得意。そのふんわりとした生地の風合いを損なわないよう縫製している。特につば部分の縫製には気を配り、丁寧に仕上げている。
ジャカード織が主力のコンドウファクトリーは、型紙不要の手作りスタイ(乳幼児用のよだれかけ)キットを開発した。織りでスタイに必要な型を描いており、型通りに裁断してパーツを縫い合わせればスタイを作ることができる。同じ生地からスタイを収納する巾着の型も取れるようデザインした。
善徳織物は100%多可製の御朱印帳セットを作った。女性の好みを意識した多彩な織り柄の生地で朱印帳を覆った。収納用のポーチもセットにした。朱印帳の紙は多可製の杉原紙を使っている。