バスクはレディスアパレルメーカー。個店への卸事業を軸に、オリジナルブランド「ブランバスク」を手掛ける。ECは卸先が楽天などのモールで商品を販売している場合があるが、同社では20年7月に始めた自社サイトのみ。外部のコンサルタントの知見も借りつつ、営業の濱口映子さんと生産の宮木愛香さんが二人三脚で、消費者の目線で試行錯誤を重ねながらEC事業を成長させている。EC化率は10%未満だが売上高は順調に伸び、今後さらなる飛躍に期待する。
――工夫しているのは。
ブランバスクの服は異素材の組み合わせを特徴にしたデザインや縫製の質が売りです。ただ、一着数万円するのもあってECでポンと買うのが難しい。一度買っていただければリピーターになる方が多いのですが、初めの一歩をどう踏み込んでもらうかが工夫のしどころ。得意とするスパイシーな服は画面上で映えるのでそこで一目ぼれさせ、商品説明には背中を押すような言葉を散りばめるように意識しています。
――SNSでも。
自社サイトの開設と同時に、インスタグラムの公式アカウントの運用も本格的に始めました。サイトの運営で大事にしている消費者の感覚はSNSの発信でも生きています。
宮木はSNS世代で、自分ならどういう投稿を見たいかとの視点で日々発信しています。インスタグラムは毎日1枚投稿するなど頻度を決めると機械的に見えてしまうため、あえて投稿頻度を決めず、売り出したい商品がECに入荷したら投稿するなど柔軟にしています。服が個性的なので画像のインパクトで勝負し、文章は少なくしているのもポイントです。
――リアルな反応が聞ける。
実店舗がないので、サイトでお客様のリアルな反応を得られるのはECをやっていてよかったと思う点。例に、広告配信では購買客の世代などのデータに加え、売れ筋の傾向からデザインに生かせることが増えました。
ECを見たと卸先から発注が入ることもあるのですが、濱口は個店とECそれぞれの在庫を把握しているため、状況に応じて在庫を適切に回せています。結果、在庫の消化率も全体的に上がりました。
個店への橋渡しも。気になった服を試着できる場所として、地域の個店にお客様が足を運ぶきっかけにもなっています。