尾州産地を取り巻く商流で大きな変化が起きている。ここにきてアパレルメーカーから百貨店へというルートが低調な一方で、インフルエンサーやネット販売業者、デザイナーなどからの直接の引き合いを受けた販売が増えている。これらのニューカマーは、動画やSNS発信とネットでの販売を組み合わせて売り上げを伸ばしている。既存アパレル向け数量を上回る生地発注を行うケースもあり、今後も目が離せない存在になってきた。
(浅岡達夫)
増えるネット関連取引
高付加価値・高単価のウール生地を中心として生産してきたテキスタイル産地が尾州。企画と生産では産地分業の調整機能を果たす親機、在庫と販売は生地問屋が担う組み合わせで、資金回転や在庫でリスクが大きい高付加価値・高単価の生地供給を行い、百貨店や専門店などの高級ゾーンの物作りを担ってきた。
SPA(製造小売業)やファストファッションの台頭、中国を中心とした海外での生地調達と生産が拡大する中でこの枠組みの規模は縮小したものの、尾州産地の主力の商流を維持している。