「ブルネロ・クチネリ」は、「北欧の香りとサルトリアルの魅力」をテーマにしたプレゼンテーションを見せた。展示会場は巨大な温室の中に、雪山でのバカンスシーンを再現した設営だ。
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スキーのリフト乗り場を背景に、ムートンのバイカージャケットやピンストライプ地のダウンジャケット。山のヒュッテの暖炉脇には、エレガントな透明スパンコールを刺繍したふんわりしたニットとシルクのロングスカートのコーディネートが展示されている。 今回のテーマとなった北欧のノルディックパターンをカシミヤギ表現したパイル地のロングパーカには、カントリーライフをほうふつとさせる温かみがある。それと対照的に、マイクロ・スパンコールの刺繍の輝きを放つ、ゆったりとしたニットは、山の別荘に客人を招待するようなハイソサエティーなライフスタイルの情景を思い起こさせる。ドレスやパンツもシルクサテン地やルレックスコーティングで、上品で控えめな光沢を放っている。
今シーズンから本格的に展開したのは、イベントのためのウェア。ロングドレスやワイドパンツにテーラードジャケットをコーディネートする、同ブランドが得意とするマニッシュとフェミニンが共生する提案。コーデュロイの畝の部分に沿ってマイクロ・スパンコールを刺繍したダブルのスーツは、動くたびにほのかな輝きを放つ。それはブルネロ・クチネリを着るシックな女性のたたずまいを象徴しているようだ。
(ミラノ=高橋恵通信員)