銀行員として、お金を商売の基軸に据えてビジネスに取り組んできた私ですが、国内外の工場訪問や商談を通じて物作りに触れるうちに、その奥深さに魅了されました。
【関連記事】《私のビジネス日記帳》物作りの転機 ブルーミング中西社長 中西一
物作りは、関わる人々の思いによって成り立っており、その思いをお客様に届けることこそが、私たちの大きな役割の一つだと実感しています。こうした人間味あふれるビジネスの世界において、厳しい環境下でも果敢に挑戦していきたい思いが強まり、11年、東日本大震災の年に代表取締役社長に就任し、5代目として事業を引き継ぎました。
その後、コロナ禍というこれまでに経験したことのない状況にも見舞われました。その中で、目まぐるしく変化する事業環境に対応し、正解のない選択を日々繰り返しながら、試行錯誤を続けてきました。昨年、私がこの会社に入社して25年、そして先代から事業を引き継いで14年が経ち、多くの関係者の皆様のおかげで、創業145周年を迎えることができました。
様々な経験を経た今、私が社員に伝えている言葉があります。それは「みんなで事業をやっていこう」という一言です。長い業歴ゆえに陥りがちな安定志向を打破し、変化の激しい時代の中で失敗を恐れず挑戦し続ける姿勢でありたい。自らを鼓舞する意味も込めて、このシンプルで当たり前の言葉を社員と共有しています。
(ブルーミング中西社長 中西一)
◇
「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。