中国ECの「トップライフ」 中国も"ストーリー"重視

2018/04/16 04:29 更新


 【上海=藤川友樹】中国EC大手の京東集団(JD)は13日、ラグジュアリーブランド専門EC「トップライフ」の開設記念イベントを上海で開いた。ファッションやライフスタイル部門を統括する胡勝利高級副総裁は「中国の消費者が求める生活の質は高まり、ラグジュアリー市場が成長している。モノの背景やストーリーを重視する傾向で、それらを伝えるプラットフォームを作る」と語った。

 トップライフは17年10月に開始した。利用者が年間2億9000万人を超える同社EC「JDドットコム」の顧客基盤から、富裕層を抽出してアプローチする。

◆値引きなし

 専門ECとして運営するのは、値引き販売をしないといったブランディングのため。サイト内には編集者やインフルエンサーがブランドや商品の価値を伝えるメディア機能もある。商品は専用倉庫で保管。温度や湿度が管理し、入退室は顔認証が必要で、一部商品の梱包(こんぽう)作業は録画するなど、正規品をユーザーに届けるという信頼もアピール。

 スーツと手袋を着用した配達員が黒塗りの車で配達し、ブランドのイメージを壊さないことを徹底するという。一方で、JDドットコムが培ってきたテクノロジーや物流基盤は活用。倉庫では商品の運搬をロボットで自動化、ブランドはサイト上でVRショップも開設できる。

JDが培ってきたテクノロジーをトップライフでも活用していく考え。イベントでは無人配達車、倉庫で商品を運搬するロボット、倉庫内の警備ロボット、配達ドローンなどの展示もあった

 出店ブランドは現在、24。ラグジュアリーEC大手の英ファーフェッチと業務提携していることもあり、「サンローラン」「アレキサンダー・マックイーン」「トッズ」「トラサルディ」など欧米中心。年内にブランド数を倍増する計画で日本ブランドはファッション、化粧品など数社と交渉中という。

◆20代が5割

 トップライフのユーザー属性は20代が約50%。JDドットコムを含め、若いユーザーが増えている。そのため日本ブランドは「原宿などのストリートラグジュアリー系ブランドなどのニーズが高い。それ以外のブランドでも、また日本のデザインや匠の精神はJDのポリシーと一致する」(胡勝利高級副総裁)として、JDが提供するECプラットフォームで販売を強化する考えも示した。

インタビューに応じた胡勝利高級副総裁


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