ニットデザイナー、高橋陽平さんの国産ブランド「コム・アーチ」(東京)が、レディスコレクションを始めて卸し先を増やしている。超長綿やカシミヤ、フレンチリネンといった上質な糸を厳選して使い、手編みなど熟練技術も盛り込んで仕上げた独特の編み柄や質感への支持が少しずつ広がってきた。
同ブランドはもともと、メンズコレクションでデビューした。卸し先であるユニセックスのセレクトショップで女性がメンズのSサイズを購入するケースも少なくなかったため、17年秋冬物からレディスコレクションを始めた。現在、レディスおよびユニセックスのセレクトショップを合わせて20店に卸している。これを50店まで増やしたい考えだ。
18年春夏物は、手編みや手横編み機製ニットなどを揃える。複数の鮮やかな色糸を使ったレースのような編み柄が特徴の半袖プルオーバーは、熟練のニッターがかぎ針で編み上げた商品(4万4000円)。糸はフレンチリネン・綿混で上質な光沢を備え、肌当たりはさらっとしている。単色の商品(4万2000円)もある。
フレンチリネン100%の長袖ニットプルオーバー(2万5000円)は手横編み機製。高橋さんは「リネンの糸は自動機で編むと切れやすい。特に低湿度で空気が乾燥している時期は制御が難しい」という。このため、職人が手の感覚で糸の張り具合や編み速度を調整しながら作る手横編み機を選んだ。糸に強いテンションをかけずに編み上げたため、一般的なリネンの編み地よりもふっくらと仕上がった。白や青、鮮やかなピンクなどを揃える。
いずれの商品も丈が短くコンパクトな形状にしており、ワイドなボトムとのコーディネートを提案している。ボトムは毛羽の少ない強撚綿糸を使ったトリコットのハイウエストプリーツスカート(2万1000円)やイージーパンツ(2万2000円)を作った。