フランスの大手スポーツ専門店デカトロンが、ランニング事業を強化している。将来有望なアスリートを育成・支援する施設を設けたほか、今年3月にはランニングブランド「キプラン」をリニューアル。キプランの売上高を28年までに2倍に引き上げる計画だ。
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同社は23年11月、マラソンの聖地として知られるケニアのイテンに、将来性のある若手ランナーが居住してトレーニングできるトータルサポート施設「42ハウス」を開設した。コーチやスポーツディレクターらが常駐し、技術面だけでなく、医療・教育的支援も提供する。現地で将来有望な選手を採用、最大22人を受け入れることが可能だ。
デカトロンは同施設でトレーニングを積むアスリートに試作品を履いてもらい、フィードバックを受け、製品開発などに役立てる。42ハウス責任者のマーク・ロイグ氏は「他のスポーツブランドでも同様の施設はあるが、契約選手に月給を支払い、賞金のすべてを選手側に渡している点が最もユニークなプログラムだ」と強調した。
一方、製品については、これまで複数あったランニングブランドをキプランに統一。初心者から中級者、上級者、トップアスリート、トレイルランニング用までカバーし、機能や価格帯もレベルに応じて階層を設ける。
デカトロン全体の23年度の売上高は156億ユーロで、キプランはそのうち約10%を占める。28年までにその額を倍にする計画だ。
■市場調査のため来日したデカトロンスポーツマーケティングヘッドのヴィクター・ヴァントローポットさんの話
日本は駅伝やマラソン、トレイルランニングなど様々なレースが盛んに開催されており、我々が成功するのに必要なユーザー層が確実に存在するワンダフルな市場だ。デカトロンとしてキプリンの流通網をきちんと整備すれば、拡大するポテンシャルは大きいと感じる。