《ローカルでいこう》伝統の技術をクリエーティブに革新
地元小売店の「誇りと販売意欲」も高まる
カジュアルきものの中で、柔らかくて薄いデニムきもの「メーカーズキモノ・アトリエ・リン」が注目されている。デニムの「ごつくて重い」というイメージを払拭(ふっしょく)し、上質感と着心地を高めた。コンテンポラリーな要素も取り入れ、バリエーションを広げている。
きものメーカーのシルフィード(広島市、岡上誠社長)が商品企画し、福山市の藍染め、金襴(きんらん)・緞子(どんす)、刺繍加工など広島県内のクリエーティブなファクトリーが協業し、昨年から本格販売を開始した。地元専門店を中心に顧客を増やしている。
企画・縫製・卸販売するシルフィードの岡上社長は「10年間構想を温めてきたが、広幅で薄地のデニムが見つからなかった」という。デニムきものは以前から市場にあるが、厚くてゴワゴワして、その欠点の解消が課題だった。
生地を探し回っているとき、知人に紹介されたのが、福山市の坂本デニム(坂本量一社長)。ここで「理想の生地」と出会った。坂本デニムは120年続く本藍による糸染めの老舗企業。4代目を継いだ坂本社長は「海外に押され、円高でダメージも受ける中で、藍染めをもっと活用できないか」と5、6年前から模索を繰り返し、30~50番手のシャツ地の開発に成功した。