田中興産、デジタルツールで顧客との関係深める LINEスタッフスタート活用

2022/04/28 06:27 更新


勤務スケジュール(左)や相談など、LINEスタッフスタートでの利用例

 「アーモワールカプリス」などレディスインポートセレクト店を展開する田中興産は、デジタルツールを使った接客で顧客との関係を深めている。従業員の平均年齢は30代半ばで、年配者も多く、EC化率も4~5%と後発だが、粘り強く、利用を浸透させ、文化として定着し始め、効果を上げている。

 4年前にECを始め、リプレイスを機に、バニッシュ・スタンダードが提供するLINEスタッフスタート(LSS)を使ったウェブ接客を導入した。当初、約半数がデジタル化の必要性を感じ、LINEならと前向きだったが、導入となると、使い方がイメージできない、個人のLINEを仕事に使うのか、需要はあるのかなど、抵抗は強かった。

 それでも2割が使い始め、個人ではなく会社のLINE公式アカウントを使うこと、LSS経由売り上げが翌日にプッシュ通知されること、店舗売り上げと同じように人事評価されることなどが理解され、当事者意識が芽生えた。本部ではアンケートや会議で出た質問を専用チャットで返信したり、成功事例を発表したり、丁寧に対応し「一人ひとりに声をかけ、納得してもらうのが一番近道だった」という。利用率が6割を超え、反響が大きくなると、自ら使いたいと利用者は増えていった。

 客からも喜ばれる実感が増えた。想像以上だったのはスタッフの出勤情報だ。販売員がいつ、店にいるかがわかり、誰が調べたかスタッフもわかる。調べた客にLINEでやり取りし、接客の準備をする事例もできた。またアニバーサリーやバースデー、雨の日、館内イベントなどでスタッフが個別にクーポンを発行するなども特別感があって、喜ばれている。

 今後はLSSの機能と施策を連動させ、「みんなで売り上げを作る環境」を目指す。友だち登録が2000人を超え、友だち限定で実施したEC購入2倍ポイントキャンペーンでは8割を誘導した。本部から下書きを送り、販売員が個別にリンク先を張り替えて配信し、貢献度もわかる。こうした施策実行のために販売員のデジタルスキルの向上を進める。8月にはLINEミニアプリで会員証を発行し、ECと会員情報を統一する予定だ。EC、LSSなどを通じ、デジタルを社内文化に浸透させ、顧客満足を向上させる。

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