越境ECの拡大を可能にしてきた免税制度と責任の所在に、欧州が本格的に手を入れ始めた。EU(欧州連合)は7月から、域外から発送される150ユーロ未満の小包に対し、1商品当たり3ユーロの関税を導入する。さらに11月以降は2ユーロ程度の処理手数料が加わる見通しで、実質的な負担は一段と増す。
背景にあるのは、急増する低額小包への対応の限界だ。24年は46億件、25年には50億件超に達し、その大半を中国発が占める。現行制度では消費者が輸入者と見なされ、プラットフォーム側の責任はあいまいだった。この構図を改め、今後は事業者が法的責任を負う仕組みに転換する。加えて、検査では域外プラットフォーム上の製品の6割以上に重大なリスクが確認されており、従来の流通の8%程度を大きく上回るなど、安全性の問題も制度見直しを後押しした。
フランスは3月に先行して2ユーロの手数料を導入したが、航空貨物がベルギーなどへシフトするなど、迂回(うかい)の動きも顕在化した。単独措置の限界が露呈する中で、EUは制度の統一とデータ基盤の整備を急ぐ。
また、EUは税関データを一元管理する新たな枠組みの構築を進めており、28年には仏リール市に欧州税関当局を設置する。
今回の改革は単なる課税強化にとどまらず、EU域内での在庫保管や一括輸入を促すことで、物流モデルの見直しを迫る。価格優位に依拠してきた越境ECの構造改革に踏み込む。
(パリ=松井孝予通信員)