フィルム(東京、滝野雅久社長)は3月21日、東京・南青山に「オスロウ」の初の単独路面店を開いた。根津美術館の脇の坂道を少し入った場所で、面積は87平方メートル。
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オスロウは「ダブルスタンダード・クロージング」など、同社の他のブランドと同様に滝野社長がデザインしている。日本のラグジュアリーを志向し、削ぎ落したフォルムと凝ったディテール、上質な素材と作りによる大人のための服を揃える。これまでも同社の「ソブ」など一部の直営店で販売していたほか、セレクトショップのボルス・1987をメインに卸販売してきた。
日中は自然光がたっぷり入る店内には、中央にモダンなデザインの大きなソファとローテーブルが置かれている。ウッドパーツでイントレチャートのように組んだ壁面がアクセントになっている。商品は壁に沿ったラックに掛けてあり、くつろぐのを重視した作りだ。ソファで客をお茶でもてなす。目を引くのは、滝野社長が選んだというアート作品。陶芸家の竹内紘三氏、中根楽氏の作品などが飾られている。この店はまず発信を目的とし、こうした作品を通して客との「価値観の共有」をしたいと滝野社長。作家のポップアップイベントなども考えているという。
ラックの商品は、おすすめのコーディネートごとに2、3アイテムずつ寄せて掛けている。フィッティングルームは琉球畳敷き。丁寧に見て選んで、ブランドの世界を味わえる。
オスロウのブランド名は、ノルウェーのオスロとスローライフを掛け合わせたもの。シンプルで機能的なスカンディナビアンデザインと、ラグジュアリーでありながら、スローライフなイメージがもとになっている。
同社はSDGs(持続可能な開発目標)の「Leave No One Behind」(誰一人取り残さない)に共感し、この言葉から取った「L.N.O.B」を、オスロウのブランド名の下にサブタイトルとして付けており、ロゴもそうしている。飢餓のない世界を目指し、国連WFP協会のコントリビューターとして、他のブランドも含めて売り上げの一部を支援に充てている。
